古典ライブラリー

人物事典 / か行

紀貫之

きのつらゆき

866頃–945頃

人物について

平安時代前期を代表する歌人。『古今和歌集』の撰者の中心となり、仮名で和歌の本質を論じた「仮名序」を書いた。土佐守の任期を終えて帰京する旅を、女性に仮託して仮名で記した『土佐日記』の作者でもある。三十六歌仙の一人。

古典ライブラリーで読める歌:『百人一首』1首『古今和歌集』102首『新古今和歌集』31首

この略歴は、掲載中の『百人一首』のページの作者欄に基づきます。伝承を含む場合は、その旨を本文に示しています。

『百人一首』の紀貫之

1首

『古今和歌集』の紀貫之

102首
古今和歌集・仮名序(一)古今和歌集やまと歌は人の心を種として、よろづの言の葉とぞなれりける。 世の中にある人事わざしげき物なれば、心に思ふ事を見る物きく物につけていひ出せるなり。 花になく鶯、水にすむ蛙の聲をきけば、生きとし生けるもの、いづれか歌をよまざりける。 力をもいれずして天地を動かし、目に見えぬ鬼神をもあはれと思はせ、男女の中をも和らけ、猛き武士の心をも慰むるは歌也。 この歌天地の開けはじまりける時より出できにけり。しかあれども世に傳はる事は、久方のあめにしては、下照姫に始り、あらがねのつちにしては、すさのをの尊よりぞおこりける。 ちはやぶる神代には、歌の文字も定らず、すなほにして、ことの心わきがたかりけらし。人の世となりて、すさのをの尊よりぞ、三十もじあまり一もじはよみける。 かくてぞ、花をめで、鳥をうらやみ、霞をあはれび、露をかなしぶ心詞おほくさまざまになりにける。遠き所も出でたつ足もとより始りて年月をわたり、高き山も麓の塵ひぢよりなりて、天雲たなびくまでおひのぼれるが如くに、この歌もかくの如くなるべし。 難波津の歌は帝のおほん始なり。淺香山の言葉は采女のたはぶれよりよみて、このふた歌は、歌の父母のやうにてぞ、手習ふ人の始にもしける。 そもそも歌のさま六つなり。からの歌にもかくぞ有るべき。 その六くさの一つにはそへ歌。おほささぎのみかどをそへたてまつれるうた、なにはづにさくやこの花冬ごもり今ははるべと咲くやこの花といへるなるべし。 二つにはかぞへ歌。咲く花に思ひつく身のあぢきなさ身にいたつきのいるも知らずてといへるなるべし。 三つにはなずらへ歌。君にけさあしたの霜のおきていなば戀しきごとに消えやわたらむといへるなるべし。 四つにはたとへ歌。わがこひはよむともつきじありそ海の濱の眞砂はよみつくすともといへるなるべし。 五つにはただごと歌。僞のなき世なりせばいかばかり人の言の葉うれしからましといへるなるべし。 六つにはいはひ歌。この殿はむべもとみけりさき草のみつばよつばにとのづくりせりといへるなるべし。 今の世の中、色につき、人の心花になりにけるより、あだなる歌、はかなきことのみ出でくれば、色ごのみの家に、埋木の人しれぬ事となりて、まめなる所には、花薄ほにいだすべき事にもあらず成りにたり。その始を思へば、かかるべくなむあらぬ。 いにしへの代々の帝、春の花のあした、秋の月の夜ごとに、さぶらふ人々をめして、ことにつけつつ歌を奉らしめ給ふ。あるは花をこふとて、たよりなき所にまどひ、あるは月を思ふとて、しるべなき闇にたどれる心々を見たまひて、さかしおろかなりとしろしめしけむ。 しかあるのみにあらず、さされ石にたとへ、筑波山にかけて君を願ひ、よろこび身にすぎ、たのしみ心にあまり、富士の煙によそへて人をこひ、松蟲のねに友をしのび、高砂住の江の松もあひおひのやうに覺え、男山の昔を思ひ出でて、女郞花の一時をくねるにも、歌をいひてぞなぐさめける。原文・訳・解説を読む 古今和歌集・仮名序(二)古今和歌集又春のあしたに花のちるを見、秋の夕暮に木の葉の落つるを聞き、あるは年ごとに鏡の影に見ゆる雪と波とを歎き、草の露、水の沫を見て、我が身をおどろき、あるは昨日は榮えおごりて、時を失ひ、世にわび、親しかりしも踈くなり、あるは松山の波をかけ、野中の水をくみ、秋萩の下葉をながめ、曉の鴫のはねがきをかぞへ、あるは吳竹のうきふしを人にいひ、吉野川をひきて世の中を恨みきつるに、今はふじの山も煙たたずなり、長柄の橋もつくるなりと聞く人は、歌にのみぞ心をなぐさめける。 いにしへよりかく傳はるうちにも、奈良のおほん時よりぞひろまりにける。かの御世や、歌の心をしろしめしたりけむ。かの御時におほきみつのくらゐ柿本の人麿なむ歌のひじりなりける。これは君も人も身を合せたりといふなるべし。 秋のゆふべ龍田川に流るる紅葉をば、みかどのおほん目には錦と見給ひ、春のあした吉野山の櫻は、人麿が心には雲かとのみなむ覺えける。 又山邊赤人といふ人あり、歌にあやしくたへなりけり。人麿は赤人がかみにたたむ事かたく、赤人は人麿がしもにたたむ事かたくなむありける。 この人々をおきて、又すぐれたる人も、吳竹のよよに聞え、片糸のよりよりに絕えずぞ有りける。これよりさきの歌をあつめてなむ萬葉集となづけられたりける。 ここにいにしへの事をも、歌の心をも知れる人、わづかにひとりふたりなりき。しかあれど、これかれ得たる所、えぬ所、たがひになむある。 かの御時よりこのかた、年は百年あまり、世はとつぎになむなりにける。いにしへの事をも歌をも知れる人よむ人多からず。今この事をいふに、つかさ位高き人をば、たやすきやうなればいれず。 その外に近き世にその名聞えたる人は、すなはち僧正遍昭は、歌のさまはえたれども、誠すくなし。たとへば繪にかける女を見て、徒に心を動かすが如し。 在原業平は、その心餘りて詞たらず、しほめる花の色なくて、にほひ殘れるが如し。 文屋康秀は、詞たくみにてそのさま身におはず、いはば商人のよききぬ著たらむが如し。 宇治山の僧喜撰は、詞かすかにして始終たしかならず、いはば秋の月を見るに、曉の雲にあへるが如し。よめる歌おほくきこえねば、これかれかよはしてよく知らず。 小野小町はいにしへの衣通姬の流なり。あはれなるやうにてつよからず、いはばよき女のなやめる所あるに似たり。つよからぬはをうなの歌なればなるべし。 大友黑主はそのさまいやし、いはば薪を負へる山人の、花の陰にやすめるが如し。 このほかの人々、その名きこゆる、野邊におふるかつらのはひひろごり、林にしげき木の葉の如くに多かれど、歌とのみ思ひてそのさま知らぬなるべし。原文・訳・解説を読む 古今和歌集・仮名序(三)古今和歌集かかるに今すべらぎの天の下しろしめすこと、四の時九のかへりになむなりぬる。あまねきおほんうつくしみの波、八島のほかまで流れ、廣きおほん惠の陰、筑波山の麓よりもしげくおはしまして、よろづのまつりごとをきこしめすいとま、もろもろの事を捨て給はぬあまりに、いにしへの事をも忘れじ、ふりにし事をもおこし給ふとて、今もみそなはし、後の世にもつたはれとて、 延喜五年四月十八日に、大内記紀友則、御書の所のあづかり紀貫之、さきの甲斐のさう官凡河内躬恒、右衞門の府生壬生忠岑らに仰せられて、萬葉集にいらぬふるき歌、みづからのをも奉らしめ給ひてなむ。 それがなかにも、梅をかざすよりはじめて、郭公を聞き、紅葉を折り、雪を見るにいたるまで、また鶴龜につけて君をおもひ、人をもいはひ、秋萩夏草を見て妻をこひ、逢坂山にいたりてたむけを祈り、あるは春夏秋冬にもいらぬくさぐさの歌をなむ、えらばせたまひける。すべて千歌二十卷、名づけて古今和歌集といふ。 かくこのたびあつめえらばれて、山下水のたえず、濱のまさごの數おほくつもりぬれば、今は飛鳥川の瀨になるうらみも聞えず、さされ石の巖となるよろこびのみぞあるべき。 それまくら言葉は春の花にほひすくなくして、むなしき名のみ秋の夜の長きをかこてれば、かつは人のみみにおそり、かつは歌の心にはぢ思へど、たなびく雲のたちゐ、なく鹿のおきふしは、貫之らがこの世におなじくうまれて、この事の時にあへるをなむよろこびぬる。 人麿なくなりにたれど、歌のこととどまれるかな。たとひ時うつり事さり、たのしびかなしびゆきかふとも、この歌の文字あるをや。 靑柳の糸たえず、松の葉の散りうせずして、まさきのかづら長くつたはり、鳥の跡ひさしくとどまれらば、歌のさまをも知り、ことの心をも得たらむ人は、大空の月を見るがごとくに、いにしへをあふぎて、今を戀ひざらめかも。原文・訳・解説を読む 古今和歌集・2番袖ひぢて袖ひぢて むすびし水の こほれるを 春たつけふの 風やとくらむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・9番かすみたちかすみたち 木の芽もはるの 雪ふれば 花なき里も 花ぞちりける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・22番春日野の春日野の 若菜つみにや しろたへの 袖ふりはへて 人のゆくらむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・25番我がせこが我がせこが 衣はる雨 ふるごとに 野邊のみどりぞ 色まさりける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・26番あをやぎのあをやぎの 糸よりかくる 春しもぞ 亂れて花の ほころびにける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・39番梅の花梅の花 にほふ春べは くらぶ山 闇に越ゆれど しるくぞありける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・42番人はいさ人はいさ 心もしらず ふるさとは 花ぞむかしの 香ににほひける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・45番暮ると明くと暮ると明くと めかれぬ物を 梅の花 いつの人まに 移ろひぬらむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・49番ことしよりことしより 春知りそむる 櫻花 ちるといふことは 習はざらなむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・58番たれしかもたれしかも とめてをりつる 春がすみ 立ちかくすらむ 山の櫻を原文・訳・解説を読む 古今和歌集・59番櫻花櫻花 咲きにけらしも あしびきの 山のかひより 見ゆるしらくも原文・訳・解説を読む 古今和歌集・78番ひとめ見しひとめ見し 君もやくると 櫻花 けふは待ちみて 散らばちらなむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・79番春がすみ春がすみ なにかくすらむ 櫻花 ちるまをだにも 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古今和歌集・384番おとはやまおとはやま こだかくなきて 郭公 きみがわかれを 惜むべらなり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・390番かつ越えてかつ越えて 別れもゆくか 逢坂は 人だのめなる 名にこそありけれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・397番秋萩の秋萩の はなをば雨に ぬらせども 君をばまして をしとこそ思へ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・404番むすぶ手のむすぶ手の 雫ににごる 山の井の あかでも人に わかれぬるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・415番糸による糸による ものならなくに 別れ路の 心ほそくも おもほゆるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・427番かづけどもかづけども 波のなかには さぐられで 風吹くごとに 浮き沈む玉原文・訳・解説を読む 古今和歌集・428番今幾日今幾日 春しなければ うぐひすも ものはながめて 思ふべらなり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・436番我はけさ我はけさ うひにぞ見つる 花の色を あだなる物と いふべかりけり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・439番をぐら山をぐら山 みねたちならし なく鹿の へにけむ秋を しる人ぞなき原文・訳・解説を読む 古今和歌集・460番うばたまのうばたまの 我がくろかみや かはるらむ 鏡のかげに ふれる白雪原文・訳・解説を読む 古今和歌集・461番あしがきのあしがきの 山邊にをれば 白雲の いかにせよとか はるる時なき原文・訳・解説を読む 古今和歌集・471番吉野川吉野川 いはなみたかく ゆく水の はやくぞ人を おもひそめてし原文・訳・解説を読む 古今和歌集・475番世の中は世の中は かくこそありけれ 吹く風の めに見ぬ人も 戀しかりけり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・479番山櫻山櫻 かすみのまより ほのかにも 見てしひとこそ 戀しかりけれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・482番逢ふ事は逢ふ事は 雲井はるかに なる神の 音にききつつ 戀ひわたるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・572番君こふる君こふる 淚しなくば からころも むねのあたりは 色もえなまし原文・訳・解説を読む 古今和歌集・573番よとともによとともに ながれてぞゆく 淚川 ふゆも氷らぬ みなわなりけり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・574番夢路にも夢路にも つゆや置くらむ よもすがら 通へる袖の ひぢて乾かぬ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・579番さつきやまさつきやま 梢を高み ほととぎす 鳴く音そらなる 戀もするかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・583番秋の野に秋の野に みだれて咲ける 花の色の ちぐさに物を 思ふころかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・587番まこもかるまこもかる 淀の澤水 雨ふれば つねよりことに まさる我がこひ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・588番越えぬまは越えぬまは 吉野の山の さくら花 人づてにのみ 聞きわたるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・589番露ならぬ露ならぬ 心を花に おきそめて 風吹くごとに ものおもひぞつく原文・訳・解説を読む 古今和歌集・597番我が戀は我が戀は しらぬ山路に あらなくに まどふ心ぞ わびしかりける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・598番くれなゐのくれなゐの ふりいでてなく 淚には 袂のみこそ いろまさりけれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・599番白玉と白玉と みえし淚も としふれば からくれなゐに うつろひにけり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・604番津の國の津の國の 難波の蘆の めもはるに しげきわがこひ 人しるらめや原文・訳・解説を読む 古今和歌集・605番手もふれで手もふれで 月日へにける 白眞弓 おきふし夜は いこそねられね原文・訳・解説を読む 古今和歌集・606番人しれぬ人しれぬ 思のみこそ わびしけれ わがなげきをば 我のみぞ知る原文・訳・解説を読む 古今和歌集・633番忍ぶれど忍ぶれど こひしき時は あしびきの 山より月の いでてこそくれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・679番いそのかみいそのかみ ふるの中道 なかなかに 見ずば戀しと 思はましやは原文・訳・解説を読む 古今和歌集・697番敷嶋の敷嶋の やまとにはあらぬ 唐衣 ころもへずして 逢ふよしもがな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・729番色もなき色もなき 心を人に 染めしより うつろはむとは おもほえなくに原文・訳・解説を読む 古今和歌集・734番いにしへにいにしへに 猶たちかへる 心かな 戀しきことに ものわすれせで原文・訳・解説を読む 古今和歌集・804番初雁の初雁の 鳴きこそわたれ 世の中の 人のこころの あきしうければ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・834番夢とこそ夢とこそ いふべかりけれ 世の中に 現あるものと 思ひけるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・838番明日知らぬ明日知らぬ 我が身と思へど 暮れぬ間の 今日は人こそ 悲しかりけれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・842番朝露の朝露の おくての山田 かりそめに うきよの中を おもひぬるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・849番郭公郭公 けさなく聲に おどろけば 君にわかれし ときにぞありける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・851番色も香も色も香も むかしのこさに 匂へども うゑけむ人の 影ぞこひしき原文・訳・解説を読む 古今和歌集・852番君まさで君まさで 煙たえにし しほがまの うら寂しくも 見えわたるかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・880番かつ見れどかつ見れど 踈くも有るかな 月影の 到らぬ里も あらじと思へば原文・訳・解説を読む 古今和歌集・881番ふたつなきふたつなき 物と思ひしを みなぞこに 山の端ならで 出づる月影原文・訳・解説を読む 古今和歌集・915番沖つ波沖つ波 たかしの濱の はままつの 名にこそ君を まちわたりつれ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・916番難波潟難波潟 おふる玉藻を かりそめの 蜑とぞわれは なりぬべらなる原文・訳・解説を読む 古今和歌集・918番雨により雨により 田蓑の島を 今日ゆけば なには隱れぬ 物にぞ有りける原文・訳・解説を読む 古今和歌集・919番あしたづのあしたづの たてる川邊を 吹く風に よせて歸らぬ 波かとぞ見る原文・訳・解説を読む 古今和歌集・931番咲きそめし咲きそめし 時より後は うちはへて 世は春なれや 色のつねなる原文・訳・解説を読む 古今和歌集・980番思ひやる思ひやる こしの白山 しらねども ひとよも夢に こえぬ夜ぞなき原文・訳・解説を読む 古今和歌集・1002番ちはやぶるちはやぶる かみの御代より くれたけの よよにもたえず あまびこの おとはのやまの はるがすみ おもひみだれて さみだれの そらもとどろに さ夜ふけて やまほととぎす 鳴くごとに たれも寐覺めて からにしき たつたのやまの もみぢ葉を 見てのみしのぶ かみなづき しぐれしぐれて ふゆの夜の にはもはだれに 降るゆきの なほ消えかへり としごとに ときにつけつつ あはれてふ ことをいひつつ きみをのみ 千代にといはふ 世のひとの おもひするがの 富士の嶺の 燃ゆるおもひに あかずして わかるるなみだ ふぢごろも おれるこころも やちくさの ことの葉ごとに すべらぎの おほせかしこみ まきまきの なかにつくすと 伊勢の海の うらのしほがひ 拾ひあつめ 取れりとすれど たまの緒の みじかきこころ 思ひあへず なほあらたまの としを經て おほみやにのみ ひさかたの ひるよるわかず つかふとて かへりみもせぬ わがやどの しのぶ草おふる 板まあらみ 降るはるさめの もりやしぬらむ原文・訳・解説を読む 古今和歌集・1010番君がさす君がさす みかさの山の もみぢ葉のいろ かみなづき しぐれのあめの 染めるなりけり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・1101番杣人は杣人は 宮木ひくらし あしびきの 山のやまびこ よびとよむなり原文・訳・解説を読む 古今和歌集・1103番こし時とこし時と 戀つつをれば 夕ぐれの おもかげにのみ 見え渡るかな原文・訳・解説を読む 古今和歌集・1111番道しらば道しらば つみにもゆかむ 住の江の きしにおふてふ 戀わすれ草原文・訳・解説を読む

『新古今和歌集』の紀貫之

31首
新古今和歌集・14番ゆきて見ぬゆきて見ぬ 人も忍べと 春の野の かたみに摘める 若菜なりけり原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・81番我が心我が心 春の山邊に あくがれて なが〳〵し日を 今日も暮しつ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・108番我宿の我宿の 物なりながら 櫻ばな 散るをばえこそ とゞめざりけれ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・111番花の香に花の香に 衣はふかく なりにけり 木の下蔭の 風のまに〳〵原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・165番くれぬとはくれぬとは 思ふものから 藤の花 さける宿には 春ぞ久しき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・166番綠なる綠なる 松にかゝれる 藤なれど おのが頃とぞ 花は咲きける原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・284番みそぎするみそぎする 河の瀨見れば から衣 日も夕ぐれに 波ぞ立ちける原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・313番おほ空をおほ空を われもながめて 彥星の 妻まつ夜さへ 獨かも寐む原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・327番棚機は棚機は いまや別るゝ 天の河 かは霧たちて 千鳥鳴くなり原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・344番山賤の山賤の 垣ほに咲ける 朝顏は しのゝめならで あふよしもなし原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・460番かりてほすかりてほす 山田の稲は 袖ひぢて 植ゑし早苗と 見えずもあるかな原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・482番雁なきて雁なきて 吹く風寒み 唐衣 君まちがてに うたぬ夜ぞなき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・676番雪のみや雪のみや ふりぬとは思ふ 山里に 我もおほくの 年ぞ積れる原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・710番君が代の君が代の 年の數をば 白妙の 濱の眞砂と たれか敷きけむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・711番若菜おふる若菜おふる 野邊といふ野邊を 君がため 萬代しめて 摘まむとぞ思ふ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・712番木綿襷木綿襷 千年をかけて 足曳の 山藍の色は かはらざりけり原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・715番年ごとに年ごとに 生ひそふ竹の よゝをへて かはらぬ色を 誰とかはみむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・718番祈りつゝ祈りつゝ 猶長月の 菊の花 いづれの秋か 植ゑて見ざらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・857番玉鉾の玉鉾の 道の山風 寒からば 形見がてらに 著なむとぞ思ふ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・861番見てだにも見てだにも あかぬ心を 玉鉾の 道のおくまで 人の行くらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・905番草枕草枕 夕風さむく なりにけり 衣うつなる 宿やからまし原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1008番しるしなきしるしなき 煙を雲に まがへつゝ 世を經て富士の 山と燃えなむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1040番風吹けば風吹けば とはに波こす 磯なれや 我が衣手の かわく時なき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1067番あし曳のあし曳の 山下たぎつ 岩浪の 心くだけて 人ぞ戀ひしき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1068番あし曳のあし曳の 山下しげき 夏草の ふかくも君を 思ふころかな原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1219番かけて思ふかけて思ふ 人もなけれど 夕されば 面影たえぬ 玉蔓かな原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1593番難波女の難波女の 衣ほすとて かりて焚く 蘆火の煙 たゝぬ日ぞなき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1683番蔭にとて蔭にとて 立ちかくるれば 唐衣 濡れぬ雨ふる 松の聲かな原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1869番おく霜におく霜に 色もかはらぬ 榊葉の 香をやは人の とめて來つらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1870番宮人の宮人の すれる衣に ゆふだすき かけて心を 誰によすらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1915番河社河社 しのにをりはへ ほす衣 いかにほせばか 七日ひざらむ原文・訳・解説を読む
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