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方丈記 ― 無常の世を生きる、心のよりどころ。紅葉の山の庵の縁に座り、筆を手に、遠くで炎と煙の上がる都を見つめる僧を描いたイメージイラスト(AI生成)。

方丈記

「行く川のながれは絶えずして、しかも本の水にあらず」。災厄の続く世の無常と、方丈の庵での閑居をつづった随筆を、章ごとに原文で読みます。

作品について

『方丈記』は、鴨長明(1155?〜1216)が、建暦二年(1212)三月の末、京の東南、日野山の奥に結んだ方一丈(約3メートル四方)の庵で書き上げた随筆です。下鴨神社の禰宜の家に生まれた長明は、和歌と琵琶にすぐれながら、望んだ社職に就くことができず、五十歳ごろに出家して大原に隠れ、のちに日野に移りました。

冒頭で、流れてやまない川の水と、浮かんでは消える泡に、人と住まいのはかなさをたとえます。続いて、自分が見た安元の大火、治承の辻風、福原遷都、養和の飢饉、元暦の大地震という五つの災厄を、目に見えるように書きとめ、この世で家を構えて心を悩ますことのむなしさを説きます。後半では、身ひとつを容れる小さな庵の作りと、日野山での四季の暮らしの楽しみを語りますが、最後には、その庵を愛することさえ執着ではないかと自分の心に問いかけて、筆をおきます。『枕草子』『徒然草』とともに、古典の三大随筆に数えられます。

章

無常のことわりと世の不思議

  1. 第1章ゆく河の流れと安元の大火
  2. 第2章治承の辻風と福原遷都
  3. 第3章養和の飢饉
  4. 第4章元暦の大地震と世の住みにくさ

方丈の庵

  1. 第5章出家と方丈の庵
  2. 第6章日野山の四季と山守の童
  3. 第7章仮の庵の暮らし

閑居の気味と結び

  1. 第8章閑居の気味と心への問い

このページの本文について

原文は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(明治36年)所収の「方丈記」(541〜554頁)を底本としています。底本は、大福光寺本などの古写本とは字句の異なる流布本系の本文で、末尾に「月かげは」の歌を載せています。底本の表記(旧字体・歴史的仮名遣い・踊り字)をそのまま翻刻し、句読点と「」は底本に従いました。本文の脇に小さく刷られた異本の注記は翻刻に入れていません。底本の段落記号(』)は、段落の切れ目として示しました。

『方丈記』には章の区切りはありません。このサイトの章の分け方と章題は、内容のまとまりと分量をもとに当サイトで付けたものです。

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