古今和歌集 巻第六 冬歌 342番
行く年の
過ぎゆく年が惜しいことよ。澄んだ鏡に映る自分の姿までが、年とともに暮れて(老いて)しまったと思うと。

現代語訳
〔詞書〕「歌を奉れ」とご命令があった時に詠んで献上した歌。
過ぎゆく年が惜しいことよ。澄んだ鏡に映る自分の姿までが、年とともに暮れて(老いて)しまったと思うと。
意訳
年が暮れるのと同時に、鏡に映る自分の姿も老いていく。年の暮れと人の老いを重ねて惜しむ。
語釈・文法注
- ます鏡
- 澄んだ鏡。「見る」にかかる。
- くれぬ
- 「暮れぬ」。年が暮れることと、影が暗くなる(老いる)こと。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第六・冬歌・342番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「歌奉れと仰せられし時によみて奉れる」(「歌を奉れ」とご命令があった時に詠んで献上した歌)。
修辞
- 掛詞
- 「くれぬ」に年が「暮れぬ」と、鏡の影が「暗れぬ」。
解説
紀貫之の歌。冬歌の最後の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、61頁(コマ44)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日