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伊勢物語
「昔、男ありけり」で始まる短い章段を連ね、ひとりの男の恋と旅を和歌でつづった平安時代の歌物語を、章ごとに原文で読みます。
作品について
『伊勢物語』は、平安時代前期に成立した歌物語です。作者は分かっていません。多くの章段が「昔、男ありけり」で始まり、和歌を中心に、その歌がよまれたいきさつを短い文章で語ります。主人公の「男」は、歌人の在原業平(825〜880)を思わせる人物として描かれ、元服したばかりの若者が恋をし、都を離れて東国へ旅をし、伊勢の斎宮と出会い、惟喬親王に仕え、最後に辞世の歌をよむまでが、ゆるやかな一代記のように並んでいます。
二条の后(藤原高子)との恋、東下りの「かきつばた」や隅田川の「都鳥」、幼なじみの恋を描く「筒井筒」、斎宮との一夜を語る「狩の使」など、よく知られた章段が多く、『源氏物語』をはじめとする後の物語や和歌、謡曲や絵画に大きな影響を与えました。
管理人より
伊勢物語は成立年代不詳とはいっても、源氏物語のなかで伊勢物語のフレーズやオマージュがたびたび引用されていることから、おそらく10世紀初めから終わりにかけて作られたと思われます。1話完結の短い構成で読みやすかったため、貴族たちの間で非常に高い人気と影響力を誇っていました。そのため、伊勢物語があったからこそ源氏物語が生まれた、と言っても過言ではありません。
また、作者は不詳ではありますが、短いシンプルな物語を複数の場所で複数の人々が手を加え、1つの物語に仕上げたのではないかと考えられています。
章
初冠と東下り(第1〜16段)
恋の歌のやりとり(第17〜50段)
宮仕えと恋の行方(第51〜68段)
狩の使と惟喬親王(第69〜86段)
布引の滝から辞世の歌まで(第87〜125段)
このページの本文について
原文は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』物語部三 雑上(明治36年)所収の「伊勢物語」を底本としています。底本の表記(旧字体・歴史的仮名遣い・踊り字)をそのまま翻刻し、句読点と「」は底本に従いました。本文の脇に小さく刷られた異本の注記は翻刻に入れていません。
底本には段の番号がありません。このサイトでは、広く使われている定家本の章段番号(全125段)に合わせて段を示しました。一つの段はたいへん短いので、内容のまとまりと分量をもとに数段ずつを一つの章にまとめています。章の分け方と章題は当サイトで付けたものです。
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