古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 108番

我宿の

紀貫之(きのつらゆき)

わが家のものでありながら、桜の花が散るのを、どうしても引き止めることができないことだ。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
貫之(紀貫之)
  1. 1我宿わがやど我宿わがやどわがやどののの初句
  2. 2物もの物ものものなりながらなりながらなりながら二句
  3. 3櫻さくら櫻さくらさくらばなばなばな三句
  4. 4散ち散ちちるるるをばえこそをばえこそをばえこそ四句
  5. 5とゞめざりけれとゞめざりけれとどめざりけれ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

わが家のものでありながら、桜の花が散るのを、どうしても引き止めることができないことだ。

意訳

自分の家の庭の桜なのだから、自分のものであるはずなのに、散っていくのを止めることはまったくできない。自分の思い通りにならない花への嘆きを、理屈を立てて詠む。

語釈・文法注

え〜ざり
「え」は打消と呼応して不可能を表す。どうしても〜できない。
とゞめざりけれ
「こそ」の結びで已然形。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・108番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

係り結び
「えこそとどめざりけれ」。

解説

貫之の歌。古今集風の理知的な発想。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、20頁(コマ20)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日