古典ライブラリー

古今和歌集 巻第二 春歌下 118番

吹く風と

紀貫之(きのつらゆき)

吹く風と谷の水とがなかったなら、深い山に隠れて咲く花を見ることができただろうか。

「吹く風と」の歌をもとにした情景。吹く風と谷の水とがなかったなら、深い山に隠れて咲く花を見ることができただろうか。
「吹く風と」の歌をもとにした情景。吹く風と谷の水とがなかったなら、深い山に隠れて咲く花を見ることができただろうか。
作者
貫之(紀貫之)
  1. 1寛平くわんぴやう寛平くわんぴやうかんぴょうののの御時おほんとき御時おほんときおおんとききさいのきさいのきさいの宮みや宮みやみやののの歌合うたあはせ歌合うたあはせうたあわせののの歌うた歌うたうた詞書
  2. 2吹ふ吹ふふくくく風かぜ風かぜかぜととと初句
  3. 3谷たに谷たにたにののの水みづ水みづみずとしとしとし二句
  4. 4なかりせばなかりせばなかりせば三句
  5. 5みやまがくれのみやまがくれのみやまがくれの四句
  6. 6花はな花はなはなををを見み見みみましやましやましや結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕寛平の御時、后の宮の歌合の歌。

吹く風と谷の水とがなかったなら、深い山に隠れて咲く花を見ることができただろうか。

意訳

山奥の花は人の目に触れないが、風が花びらを吹き散らし、谷川がそれを流してくれるので、その存在を知ることができる。

語釈・文法注

なかりせば…見ましや
反実仮想と反語。なかったら見ただろうか、見なかっただろう。
みやまがくれ
深い山の奥に隠れていること。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第二・春歌下・118番
歌体
短歌
状況
詞書「寛平の御時きさいの宮の歌合の歌」(寛平の御時、后の宮の歌合の歌)。

修辞

反実仮想
「…せば…ましや」。

解説

貫之の歌。散る花を厭うのではなく、その恵みとして捉える視点が新しい。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、21頁(コマ24)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日