古典ライブラリー

古今和歌集 巻第一 春歌上 49番

ことしより

紀貫之(きのつらゆき)

今年から春を知りはじめた桜の花よ、散るということだけは見習わないでほしい。

植えられた若い桜が、今年初めて花を開く。散ることだけは覚えないでほしいと呼びかける紀貫之の情景。
植えられた若い桜が、今年初めて花を開く。散ることだけは覚えないでほしいと呼びかける紀貫之の情景。
作者
貫之(紀貫之)
  1. 1人ひと人ひとひとののの家いへ家いへいえにににうゑたりけるうゑたりけるうえたりける櫻さくら櫻さくらさくらののの花はな花はなはな咲さ咲ささきききはははじめたりけるじめたりけるじめたりけるををを見み見みみてよめるてよめるてよめる詞書
  2. 2ことしよりことしよりことしより初句
  3. 3春はる春はるはる知し知ししりそむるりそむるりそむる二句
  4. 4櫻花さくらばな櫻花さくらばなさくらばな三句
  5. 5ちるといふことちるといふことちるということははは四句
  6. 6習なら習ならならははわざらなむざらなむざらなむ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕人の家に植えてあった桜の花が咲き始めたのを見て詠んだ歌。

今年から春を知りはじめた桜の花よ、散るということだけは見習わないでほしい。

意訳

植えたばかりで今年初めて咲いた若木の桜に、ほかの桜の散ることだけはまねないでくれと呼びかける。桜が散ることへの惜しみを先回りして詠む。

語釈・文法注

知りそむる
知りはじめる。
習はざらなむ
「なむ」は願望の終助詞。見習わないでほしい。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第一・春歌上・49番
歌体
短歌
状況
詞書「人の家にうゑたりける櫻の花咲きはじめたりけるを見てよめる」(人の家に植えてあった桜の花が咲き始めたのを見て詠んだ歌)。

修辞

擬人法
桜を人のように扱い、ものを習うと表現する。

解説

桜の部の最初の歌。咲き始めから散るまでを順に並べる古今集の配列がここから始まる。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、9頁(コマ18)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日