古今和歌集 巻第一 春歌上 39番
梅の花
梅の花が匂う春のころは、暗いという名のくらぶ山を闇夜に越えても、香ではっきりとわかることだ。

現代語訳
〔詞書〕鞍馬山で詠んだ歌。
梅の花が匂う春のころは、暗いという名のくらぶ山を闇夜に越えても、香ではっきりとわかることだ。
意訳
「くらぶ山」という暗さを連想させる名の山を夜に越えても、梅の香がはっきりと匂うので、梅の咲いている所がわかる、と香の強さを詠む。
語釈・文法注
- くらぶ山
- 鞍馬山のことという。「暗し」を連想させる。
- 春べ
- 春のころ。
- しるく
- はっきりと。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・39番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「くらぶ山にてよめる」(鞍馬山で詠んだ歌)。
修辞
- 掛詞
- 「くらぶ山」の「くら」に「暗し」の意をひびかせる。
解説
地名の音から連想を広げる貫之の技巧が見える。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、7頁(コマ17)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日