古今和歌集 巻第一 春歌上 26番
あをやぎの
青柳が糸をより合わせてかける春にかぎって、糸が乱れるように、花がほころびて咲いたことだ。

現代語訳
青柳が糸をより合わせてかける春にかぎって、糸が乱れるように、花がほころびて咲いたことだ。
意訳
柳の枝を糸に見立て、糸を縒る春なのに、かえって花がほころび(衣のほころびのように)咲き乱れた、と言葉遊びをまじえて春の盛りを描く。
語釈・文法注
- いとよりかくる
- 柳の細い枝を、糸を縒ってかけたものに見立てる。
- しもぞ
- 強調。ほかならぬ春に。
- ほころび
- 花が開くことと、縫い目がほどけることの両意。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・26番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「歌奉れと仰せられし時詠みてたてまつれる」(「歌を奉れ」とご命令があった時に詠んで献上した歌)。
修辞
- 縁語
- 「糸」「よる」「乱る」「ほころぶ」。
- 掛詞
- 「ほころび」に花が咲く意と衣がほころびる意。
解説
縫い物の縁語を連ねて柳と花を詠む、貫之らしい技巧の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、5頁(コマ16)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日