古今和歌集 巻第一 春歌上 45番
暮ると明くと
日が暮れても夜が明けても目を離さずに見ていたのに、梅の花は、いつの人の見ていない間に散ってしまったのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕家にあった梅の花が散ったのを詠んだ歌。
日が暮れても夜が明けても目を離さずに見ていたのに、梅の花は、いつの人の見ていない間に散ってしまったのだろうか。
意訳
朝も夕も見守っていたのに、気づけば梅は盛りを過ぎていた。花の移ろいのはやさと、それを惜しむ心を詠む。
語釈・文法注
- 暮ると明くと
- 日が暮れると夜が明けると。
- めかれぬ
- 目を離さない。
- 人ま
- 人の見ていない間。
- うつろひぬらむ
- 色あせ散ってしまったのだろう。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第一・春歌上・45番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「家に有りける梅の花のちりけるをよめる」(家にあった梅の花が散ったのを詠んだ歌)。
解説
「暮ると明くと」の対句的な言い回しが、見守り続けた時間の長さを感じさせる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、8頁(コマ17)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日