古典ライブラリー

当サイトのコンテンツにはPRリンクが含まれています

奥の細道 ― 旅に詠む、四季と出会いの紀行文。笠をかぶり笈を背負った旅の僧が、桜と紅葉の山道から島々の浮かぶ入江と雪の山を見わたし、かたわらに「奥の細道」と刻んだ石碑が立つイメージイラスト。

おくのほそ道

元禄二年(1689)の春、松尾芭蕉が門人の曾良とともに江戸の深川を発ち、奥羽・北陸をめぐって美濃の大垣に至るまでの旅を記した紀行文を、章ごとに原文で読みます。

作品について

『おくのほそ道』(奥の細道)は、松尾芭蕉(1644〜1694)の俳諧紀行文です。元禄二年(1689)三月二十七日に江戸の深川を発った芭蕉は、門人の河合曾良を伴って日光・白河の関・松島・平泉を訪ね、奥羽山脈を越えて出羽の尾花沢・立石寺・羽黒山・象潟へ、さらに日本海沿いに越後・越中・加賀・越前を経て、八月下旬に美濃の大垣に着きました。およそ百五十日、六百里(約二千四百キロ)におよぶ旅です。

旅の目的の一つは、西行や能因が和歌に詠んだ「歌枕」をたずねることでした。白河の関、武隈の松、壺の碑、末の松山、松島、象潟――古人の歌に詠まれた土地に立ち、ときに変わり果てた姿に涙し、ときに千年の時を越えて残るものに感動しながら、芭蕉は「夏草や兵どもが夢の跡」「閑さや岩にしみ入蟬の聲」「五月雨をあつめて早し最上川」「荒海や佐渡によこたふ天河」など、のちに名句とされる発句を残しました。

本文は、旅から数年をかけて推敲を重ね、元禄七年(1694)の初夏ごろまでに成ったと考えられています。事実をそのまま記した旅日記ではなく、同行した曾良の『随行日記』と比べると、日付や順序、出来事に手が加えられているところがあり、一つの文学作品として構成されたものです。漢詩文の対句を取り入れた引き締まった文章と、発句とが響き合う「俳文」の代表作として、今も広く読まれています。

章

深川から日光へ(武蔵・下野)

  1. 第1章漂泊の思ひ深川
  2. 第2章旅立ち千住
  3. 第3章草加草加
  4. 第4章室の八島栃木
  5. 第5章仏五左衛門日光
  6. 第6章日光日光

那須野から白河の関へ(下野)

  1. 第7章那須那須野
  2. 第8章黒羽黒羽
  3. 第9章雲巌寺黒羽
  4. 第10章殺生石・遊行柳那須湯本・芦野
  5. 第11章白河の関白河

みちのくの歌枕をたずねて(陸奥)

  1. 第12章須賀川須賀川
  2. 第13章浅香山・信夫の里郡山・福島
  3. 第14章佐藤庄司が旧跡飯坂
  4. 第15章飯塚飯坂
  5. 第16章笠島名取
  6. 第17章武隈の松岩沼
  7. 第18章宮城野仙台
  8. 第19章壺の碑多賀城
  9. 第20章末の松山多賀城・塩竈
  10. 第21章塩竈明神塩竈

松島と平泉(陸奥)

  1. 第22章松島松島
  2. 第23章瑞巌寺松島
  3. 第24章石巻石巻
  4. 第25章平泉平泉
  5. 第26章尿前の関鳴子・堺田

出羽三山と最上川(出羽)

  1. 第27章尾花沢尾花沢
  2. 第28章立石寺山寺
  3. 第29章最上川大石田
  4. 第30章羽黒山羽黒
  5. 第31章月山・湯殿山月山
  6. 第32章酒田鶴岡・酒田
  7. 第33章象潟象潟

北陸路をたどって(越後・越中・加賀)

  1. 第34章越後路越後
  2. 第35章市振市振
  3. 第36章那古の浦那古
  4. 第37章金沢金沢
  5. 第38章多太神社小松
  6. 第39章那谷那谷
  7. 第40章山中山中温泉

越前から大垣へ(加賀・越前・美濃)

  1. 第41章全昌寺大聖寺
  2. 第42章汐越の松吉崎
  3. 第43章天龍寺・永平寺丸岡・永平寺
  4. 第44章等栽福井
  5. 第45章敦賀敦賀
  6. 第46章種の浜色の浜
  7. 第47章大垣大垣

このページの本文について

原文は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている藤村作編『奥の細道』(至文堂、昭和5年)を底本としています。同書は、芭蕉が旅の後に門人の素龍に清書させ、自ら題簽を書いて所持した「素龍清書本」の系統の本文によるもので、句読点と濁点は編者が施しています。このサイトでは、底本の表記(旧字体・歴史的仮名遣い・踊り字・句読点)をそのまま翻刻しました。底本の頭注・挿絵・地図と、本文の脇の注番号は入れていません。底本の誤植と思われる所や通行本文と違う所も底本どおりに翻刻し、各章の文法注に断りました。

底本には章段の区切りや題がなく、文章が続けて刷られています。このサイトでは、今日広く行われている章段の区切りと呼び名(「旅立ち」「平泉」「立石寺」など)に合わせて全47章に分けました。最後の第47章には、底本の巻末にある、素龍清書本の由来を記した奥書も載せています。

Amazonのアソシエイトとして、古典ライブラリーは適格販売により収入を得ています。