古今和歌集 巻第二 春歌下 87番
山たかみ
山が高いので、遠くに見ながら私がやって来た桜の花は、風が思いのままに散らすようだ。

現代語訳
〔詞書〕比叡山に登って帰ってきて詠んだ歌。
山が高いので、遠くに見ながら私がやって来た桜の花は、風が思いのままに散らすようだ。
意訳
高い山の桜を、手に取れないまま遠く見ながら帰ってきた。その桜は、人の手の届かない所で、風の思うままに散らされてしまうだろう。
語釈・文法注
- ひえ
- 比叡山。
- 見つつわがこし
- 見ながら私がやって来た。
- 心にまかす
- 思いのままにする。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・87番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「ひえに登りて歸りまうできて詠める」(比叡山に登って帰ってきて詠んだ歌)。
解説
貫之の歌。人の手の及ばない山の桜を思いやる。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、16頁(コマ21)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日