古今和歌集 巻第二 春歌下 94番
三輪山を
三輪山を、そんなにも隠すのか、春霞よ。人に知られない花が咲いているのだろうか。

現代語訳
〔詞書〕春の歌として詠んだ歌。
三輪山を、そんなにも隠すのか、春霞よ。人に知られない花が咲いているのだろうか。
意訳
霞が三輪山をすっかり隠しているのは、人に知られたくない花が咲いているからだろうか、と想像する。
語釈・文法注
- 三輪山
- 奈良県桜井市の山。大神神社の神体山。
- しかも
- そのようにも。
- 花やさくらむ
- 花が咲いているのだろうか。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・94番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「春の歌とてよめる」(春の歌として詠んだ歌)。
修辞
- 本歌取り
- 万葉集の額田王の歌「三輪山をしかも隠すか雲だにも心あらなむ隠さふべしや」をふまえる。
解説
万葉集の名歌を、春霞と花の歌に作りかえた貫之の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、17頁(コマ22)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日