古今和歌集 巻第二 春歌下 83番
さくら花
桜の花が早く散るとは思われない。人の心こそ、風も吹ききらないうちに変わってしまうものだ。

現代語訳
〔詞書〕「桜のように早く散るものはない」と人が言ったので詠んだ歌。
桜の花が早く散るとは思われない。人の心こそ、風も吹ききらないうちに変わってしまうものだ。
意訳
桜が散るのが早いというが、人の心の移ろいのほうがもっと早い、と人の心の頼みがたさを嘆く。
語釈・文法注
- とく
- 早く。
- おもほえず
- 思われない。
- 吹きあへぬ
- 吹ききらない。風が吹きもしないうちに。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・83番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「櫻のごと疾くちる物はなしと人のいひければよめる」(「桜のように早く散るものはない」と人が言ったので詠んだ歌)。
修辞
- 対比
- 桜と人の心の移ろいやすさ。
解説
貫之の歌。桜の散りやすさを、より移ろいやすい人の心と比べて詠む。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、15頁(コマ21)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日