古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第二 春歌下 111番

花の香に

紀貫之(きのつらゆき)

花の香りで、衣はすっかり深く香るようになったことだ。木の下陰を吹く風に吹かれるままに。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
貫之(紀貫之)
  1. 1花はな花はなはなののの香か香かかににに初句
  2. 2衣ころも衣ころもころもはははふかくふかくふかく二句
  3. 3なりにけりなりにけりなりにけり三句
  4. 4木こ木ここののの下した下したした蔭かげ蔭かげかげののの四句
  5. 5風かぜ風かぜかぜのののまに〳〵まに〳〵まにまに結句

引用の仕方

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現代語訳

花の香りで、衣はすっかり深く香るようになったことだ。木の下陰を吹く風に吹かれるままに。

意訳

桜の木の下にいると、風が吹くたびに花の香りが衣に移り、すっかり深く香るようになった。

語釈・文法注

深く
香りが深く染みこむ。色が濃くなる意にも用いる。
風のまに〳〵
風の吹くのにまかせて。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第二・春歌下・111番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

三句切れ・倒置法
三句切れ・倒置法。

解説

貫之の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、20頁(コマ20)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日