古典ライブラリー

古今和歌集 巻第八 離別歌 404番

むすぶ手の

紀貫之(きのつらゆき)

手ですくう水のしずくで濁ってしまう山の清水のように、満ち足りないまま、あの人と別れてしまったことだ。

「むすぶ手の」の歌をもとにした情景。手ですくう水のしずくで濁ってしまう山の清水のように、満ち足りないまま、あの人と別れてしまったことだ。
「むすぶ手の」の歌をもとにした情景。手ですくう水のしずくで濁ってしまう山の清水のように、満ち足りないまま、あの人と別れてしまったことだ。
作者
貫之(紀貫之)
  1. 1志賀しが志賀しがしがののの山越やまごえ山越やまごえやまごえにてにてにて石井いしゐ石井いしゐいしいのもとにてのもとにてのもとにて物もの物ものものいひけるいひけるいいける人ひと人ひとひとののの別わか別わかわかれけるれけるれける折を折をおによめるによめるによめる詞書
  2. 2むすぶむすぶむすぶ手て手ててののの初句
  3. 3雫しづく雫しづくしずくににごるににごるににごる二句
  4. 4山やま山やまやまののの井ゐ井ゐいののの三句
  5. 5あかでもあかでもあかでも人ひと人ひとひとににに四句
  6. 6わかれぬるかなわかれぬるかなわかれぬるかな結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

〔詞書〕志賀の山越えで、石井のそばで話をした人と別れた時に詠んだ歌。

手ですくう水のしずくで濁ってしまう山の清水のように、満ち足りないまま、あの人と別れてしまったことだ。

意訳

浅い山の井は、すくう手のしずくで濁ってしまい十分に飲めない。そのように、心ゆくまで語りあえないまま別れたことを惜しむ。

語釈・文法注

むすぶ手
水をすくう手。
あかでも
満ち足りないまま。山の井の水を「飽く(十分に飲む)」ことができない意をかける。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第八・離別歌・404番
歌体
短歌
状況
詞書「志賀の山越にて石井のもとにて物いひける人の別れける折によめる」(志賀の山越えで、石井のそばで話をした人と別れた時に詠んだ歌)。

修辞

序詞
上三句が「あかで」を導く。

解説

紀貫之の名歌。のちに藤原俊成らに高く評価された。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、75頁(コマ51)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日