古今和歌集 巻第八 離別歌 390番
かつ越えて
逢坂を越えるそばから、別れて行ってしまうのか。逢坂とは、人に期待させるだけの名前であったよ。

現代語訳
〔詞書〕藤原惟岳が武蔵介として下る時、見送りに逢坂を越えようとして詠んだ歌。
逢坂を越えるそばから、別れて行ってしまうのか。逢坂とは、人に期待させるだけの名前であったよ。
意訳
「逢う」という名の逢坂で別れることになり、名前にだまされた、と別れを惜しむ。
語釈・文法注
- かつ越えて
- 越えるそばから。
- 人だのめ
- 人を頼みに思わせること。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第八・離別歌・390番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「藤原のこれをかが武藏の介にまかりける時に送りに逢坂を越ゆとてよみける」(藤原惟岳が武蔵介として下る時、見送りに逢坂を越えようとして詠んだ歌)。
修辞
- 掛詞
- 「あふさか」に「逢ふ」。
解説
紀貫之の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、72頁(コマ49)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日