古典ライブラリー

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和泉式部日記 ― 恋と歌に揺れる、和泉式部の繊細な記録。月の昇る夜、桜と藤の咲く邸の縁で、文机に頬杖をつきながら筆をとる平安装束の女性と、広げた巻物や螺鈿の箱を描いたイメージイラスト。

和泉式部日記

恋人を亡くした女と、その弟宮との十か月の恋を、百四十首あまりの贈答歌でたどる日記文学を、章ごとに原文で読みます。

作品について

『和泉式部日記』は、恋人の為尊親王(冷泉天皇の第三皇子)を亡くした和泉式部が、その弟の帥宮敦道親王と恋に落ち、長保五年(1003)四月から翌寛弘元年正月まで、宮の邸に迎えられるまでを描いた作品です。二人がやりとりした贈答歌が百四十首あまり収められ、歌のやりとりで物語が進みます。

書き手は自分を「女」と三人称で呼び、宮の心の中まで語ります。このため日記でありながら物語のようでもあり、伝本によっては『和泉式部物語』とも題されます。作者は和泉式部とするのが通説で、このサイトもそれに従いますが、三人称の書き方などから、後の人が和泉式部の歌をもとに書いたとする説(他作説)もあります。

宮は世間の噂や乳母の諫めに迷い、女は宮の心を疑いながらも惹かれてゆきます。宮仕えを勧められた女は、十二月に宮邸に入りますが、それをきっかけに宮の北の方(藤原済時の娘)が邸を去るところで日記は終わります。宮はこの四年後、二十七歳で亡くなりました。

章

恋の始まり(長保五年四月〜五月)

  1. 第1章橘の花と初めての逢瀬
  2. 第2章ほととぎすの忍び音と五月雨
  3. 第3章乳母の諫めと鳥の音

すれ違いの夏(五月〜八月)

  1. 第4章月の夜と人の噂
  2. 第5章七夕と石山詣で

深まる秋(八月〜十月)

  1. 第6章野分と有明の月
  2. 第7章手習の歌と手枕の袖
  3. 第8章宮の誘い
  4. 第9章霜の朝と童
  5. 第10章まゆみの紅葉と葛城の神

迷いの冬(十月〜十二月)

  1. 第11章伏見の方違えと宮仕えの決意
  2. 第12章霜枯れの風と初雪
  3. 第13章なほざりのあらましごと

宮邸へ(十二月〜寛弘元年正月)

  1. 第14章宮邸に迎えられる
  2. 第15章北の方の退去

このページの本文について

原文は、国立国会図書館デジタルコレクションで公開されている丸岡桂・松下大三郎編『国文大観』日記草子部(明治36年)所収の「和泉式部日記」(419〜456頁)を底本としています。底本の表記(旧字体・歴史的仮名遣い・踊り字)をそのまま翻刻し、句読点と「」は底本に従いました。本文の脇に小さく刷られた異本の注記や頭注の年紀は翻刻に入れていません。

『和泉式部日記』はもともと月日を追って記事が続く作品で、章の区切りはありません。このサイトの章の分け方と章題は、季節と出来事のまとまり、分量をもとに当サイトで付けたものです。

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