古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十七 雑歌上 880番

かつ見れど

紀貫之(きのつらゆき)

一方では見ているけれど、なんとなくよそよそしいことよ。月の光の届かない里もないだろうと思うと。

作者
紀貫之
  1. 1月つき月つきつきおもしろしとておもしろしとておもしろしとて凡河内躬恒おほしかふちのみつね凡河内躬恒おほしかふちのみつねおおしこうちのみつねがまうできたりけるによめるがまうできたりけるによめるがもうできたりけるによめる詞書
  2. 2かつかつかつ見み見みみれどれどれど初句
  3. 3踈うと踈うとうとくもくもくも有あ有ああるかなるかなるかな二句
  4. 4月影つきかげ月影つきかげつきかげののの三句
  5. 5到いた到いたいたらぬらぬらぬ里さと里さとさとももも四句
  6. 6あらじとあらじとあらじと思おも思おもおもへばへばえば結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕月が美しいといって凡河内躬恒が訪ねてきたので詠んだ歌。

一方では見ているけれど、なんとなくよそよそしいことよ。月の光の届かない里もないだろうと思うと。

意訳

月の光はどこにでも届くので、自分のもとに来た躬恒も、よそへも行くのだろう、と軽く皮肉を言う。

語釈・文法注

かつ見れど
一方では見ているが。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第十七・雑歌上・880番
歌体
短歌
状況
詞書「月おもしろしとて凡河内躬恒がまうできたりけるによめる」(月が美しいといって凡河内躬恒が訪ねてきたので詠んだ歌)。

解説

紀貫之の歌。撰者どうしの親しい交わりがうかがえる。

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出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、159頁(コマ93)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日