古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第一 春歌上 81番

我が心

紀貫之(きのつらゆき)

私の心は春の山辺にさまよい出て、長い長い春の一日を、今日もそうして過ごしてしまった。

春の長い日、歌人が遠い山辺を眺めながらもの思いにふけっている場面
春の長い日、歌人が遠い山辺を眺めながらもの思いにふけっている場面
作者
紀貫之
  1. 1亭子院ていじのゐん亭子院ていじのゐんていじのいんののの歌合うたあはせ歌合うたあはせうたあわせににに詞書
  2. 2我わ我わわががが心こころ心こころこころ初句
  3. 3春はる春はるはるののの山邊やまべ山邊やまべやまべににに二句
  4. 4あくがれてあくがれてあくがれて三句
  5. 5なが〳〵しなが〳〵しながながし日ひ日ひひををを四句
  6. 6今日けふ今日けふきょうももも暮くら暮くらくらしつしつしつ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

〔詞書〕亭子院の歌合に詠んだ歌。

私の心は春の山辺にさまよい出て、長い長い春の一日を、今日もそうして過ごしてしまった。

意訳

春の山辺の美しさに心をうばわれ、魂がさまよい出たようになって、長い春の日を今日もぼんやりと過ごしてしまった。春の日の長さと、春に心をうばわれた人のけだるさを詠む。

語釈・文法注

あくがれて
魂が体から離れてさまよい出る。心がうわの空になる。
なが〳〵し
長々し。長い。
暮しつ
「つ」は完了の助動詞。過ごしてしまった。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第一・春歌上・81番
歌体
短歌
状況
詞書「亭子院の歌合に」(亭子院の歌合に詠んだ歌)。

解説

延喜十三年(913)の「亭子院歌合」での貫之の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、15頁(コマ17)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日