古典ライブラリー

古今和歌集 巻第十六 哀傷歌 852番

君まさで

紀貫之(きのつらゆき)

あなたがいらっしゃらないので、塩を焼く煙も絶えてしまった塩釜の浦は、うら寂しく一面に見えることだ。

作者
貫之(紀貫之)
  1. 1河原かはら河原かはらかわらののの左ひだり左ひだりひだりのおほいまうちぎみののおほいまうちぎみののおおいもうちぎみの身み身みみまかりてまかりてまかりて後のち後のちのちかのかのかの家いへ家いへいえにまかりてありけるににまかりてありけるににまかりてありけるに鹽釜しほがま鹽釜しほがましおがまといふといふという所ところ所ところところのさまのさまのさまをををつくれりけるつくれりけるつくれりけるををを見み見みみてよめるてよめるてよめる詞書
  2. 2君きみ君きみきみまさでまさでまさで初句
  3. 3煙けぶり煙けぶりけぶりたえにしたえにしたえにし二句
  4. 4しほがまのしほがまのしおがまの三句
  5. 5うらうらうら寂さび寂さびさびしくもしくもしくも四句
  6. 6見み見みみえわたるかなえわたるかなえわたるかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕河原の左大臣が亡くなった後、その家に行ったところ、塩釜という所の様子を造ってあったのを見て詠んだ歌。

あなたがいらっしゃらないので、塩を焼く煙も絶えてしまった塩釜の浦は、うら寂しく一面に見えることだ。

意訳

源融が河原院に造らせた塩釜の景を、主の亡き後に見て、寂しさを詠む。

語釈・文法注

塩釜
陸奥国の歌枕。融は河原院に塩釜の景を造り、海水を運ばせて塩を焼かせたという。
うら
「浦」と「心(うら)」。

和歌

作者
紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。
出典
『古今和歌集』巻第十六・哀傷歌・852番
歌体
短歌
状況
詞書「河原の左のおほいまうちぎみの身まかりて後かの家にまかりてありけるに鹽釜といふ所のさまをつくれりけるを見てよめる」(河原の左大臣が亡くなった後、その家に行ったところ、塩釜という所の様子を造ってあったのを見て詠んだ歌)。

修辞

掛詞
「うら」。

解説

紀貫之の歌。

関連

出典

底本
有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、151頁(コマ89)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日