古今和歌集 巻第二 春歌下 115番
梓弓
春の山辺を越えて来ると、道もよけきれないほど花が散っていたことだ。

現代語訳
〔詞書〕志賀の山越えで女性たちがたくさん行き会ったので、詠んで贈った歌。
春の山辺を越えて来ると、道もよけきれないほど花が散っていたことだ。
意訳
志賀の山越えの道は落花で埋まり、よけて通ることもできない。そこで行き会った女性たちを花にたとえ、道いっぱいの華やぎを詠んで贈った。
語釈・文法注
- 梓弓
- 「はる」にかかる枕詞。
- 志賀の山越
- 京の北白川から比叡山の南を越えて近江の志賀へ出る道。崇福寺への参詣路。
- さりあへず
- 避けきれない。
和歌
- 作者
- 紀貫之(きのつらゆき) 872?–945?
『古今和歌集』の撰者の中心で、仮名序を書いた。御書所預などを経て土佐守となり、任期を終えて帰京する旅を『土佐日記』に書いた。理知的で技巧に富む歌風で、『古今和歌集』に最も多い百首あまりが入る。三十六歌仙の一人。 - 出典
- 『古今和歌集』巻第二・春歌下・115番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「志賀の山越にをんなの多くあへりけるによみて遣しける」(志賀の山越えで女性たちがたくさん行き会ったので、詠んで贈った歌)。
修辞
- 枕詞
- 「梓弓」。
- 寓意
- 散る花に行き会った女性たちを重ねる。
解説
貫之の歌。
関連
出典
- 底本
- 有朋堂文庫『古今和歌集・後撰和歌集』 塚本哲三校訂、有朋堂書店、大正15年(1926)、20〜21頁(コマ23)。正保四年版『八代集』を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日