人物事典 / か行
柿本人麻呂
かきのもとのひとまろ
生没年未詳(7世紀後半〜8世紀初め)
人物について
持統天皇・文武天皇の時代に活躍した宮廷歌人。『万葉集』を代表する歌人で、後世「歌聖」と仰がれた。三十六歌仙の一人。
古典ライブラリーで読める歌:『百人一首』1首『万葉集』84首『新古今和歌集』23首
この略歴は、掲載中の『百人一首』のページの作者欄に基づきます。伝承を含む場合は、その旨を本文に示しています。
『百人一首』の柿本人麻呂
1首『万葉集』の柿本人麻呂
84首万葉集・29〜31番玉襷 畝火の山の玉襷畝火の山の 橿原の日知の御代ゆ 生れましし神のことごと 樛の木のいやつぎつぎに 天の下知ろしめししを 天にみつ倭を置きて あをによし奈良山を越え いかさまにおもほしめせか 天離る夷にはあれど 石走る淡海の國の さざなみの大津の宮に 天の下知ろしめしけむ 天皇の神の尊の 大宮は此處と聞けども 大殿は此處と言へども 春草の茂く生ひたる 霞立つ春日の霧れる 百磯城の大宮處見れば悲しも さざなみの 志賀の辛碕 幸くあれど 大宮人の 船待ちかねつ さざなみの 志賀の大曲 淀むとも 昔の人に 亦も逢はめやも原文・訳・解説を読む 万葉集・36〜37番やすみしし 吾大王のやすみしし吾大王の 聞し食す天の下に 國はしも多にあれども 山川の清き河内と 御心を吉野の國の 花散らふ秋津の野邊に 宮柱太敷きませば 百磯城の大宮人は 船竝めて朝川渡り 舟競ひ夕川わたる この川の絶ゆることなく この山のいや高知らす 水激る瀧の宮處は見れど飽かぬかも 見れど飽かぬ 吉野の河の 常滑の 絶ゆることなく また還り見む原文・訳・解説を読む 万葉集・38〜39番やすみしし 吾大王 神ながらやすみしし吾大王 神ながら神さびせすと 芳野川たぎつ河内に 高殿を高しりまして 登り立ち國見をすれば 疊はる青垣山 山祇の奉る御調と 春べは花かざし持ち 秋立てば黄葉かざせり 逝き副ふ川の神も 大御食に仕へ奉ると 上つ瀬に鵜川を立て 下つ瀬に小網さし渡す 山川も依りて奉れる神の御代かも 山川も よりて奉れる 神ながら たぎつ河内に 船出するかも原文・訳・解説を読む 万葉集・40〜42番英虞の浦に英虞の浦に 船乘りすらむ をとめ等が 珠裳の裾に 潮滿つらむか 釵著く 手節の埼に 今日もかも 大宮人の 玉藻苅るらむ 潮騒に 伊良虞の島邊 榜ぐ船に 妹乘るらむか 荒き島回を原文・訳・解説を読む 万葉集・45〜49番やすみしし 吾大王 高照らすやすみしし吾大王 高照らす日の皇子 神ながら神さびせすと 太敷かす京を置きて 隱口の泊瀬の山は 眞木立つ荒山道を 石が根楚樹おしなべ 坂鳥の朝越えまして 玉かぎる夕さりくれば み雪降る阿騎の大野に 旗薄しのをおし靡べ 草枕旅宿りせす古思ひて 阿騎の野に 宿る旅人 うち靡き 寐も寢らめやも 古おもふに 眞草苅る 荒野にはあれど 黄葉の 過ぎにし君が 形見とぞ來し 東の 野にかぎろひの 立つ見えて かへりみすれば 月西渡きぬ 日竝の 皇子の尊の 馬竝めて 御獵立たしし 時は來向ふ原文・訳・解説を読む 万葉集・131〜134番石見の海 角の浦回を石見の海角の浦回を 浦なしと人こそ見らめ 潟なしと人こそ見らめ よしゑやし浦はなくとも よしゑやし潟はなくとも 鯨魚取り海邊をさして 和多豆の荒磯の上に か青なる玉藻奥つ藻 朝羽振る風こそ寄せめ 夕羽振る浪こそ來寄せ 浪の共彼より此より 玉藻なす寄り寢し妹を 露霜のおきてし來れば この道の八十隈毎に 萬たびかへりみすれど いや遠に里は放りぬ いや高に山も越え來ぬ 夏草の思ひ萎えて 偲ぶらむ妹が門見む靡けこの山 石見のや 高角山の 木の間より 我が振る袖を 妹見つらむか 小竹の葉は み山もさやに 亂げども 吾は妹おもふ 別れ來ぬれば 石見なる 高角山の 木の間ゆも 吾が袖振るを 妹見けむかも原文・訳・解説を読む 万葉集・135〜137番つぬさはふ 石見の海のつぬさはふ石見の海の 言さへぐ韓の埼なる いくりにぞ深海松生ふる 荒磯にぞ玉藻は生ふる 玉藻なす靡き寢し兒を 深海松の深めて思へど さ寢し夜は幾だもあらず 延ふ蔦の別れし來れば 肝向ふ心を痛み 思ひつつかへりみすれど 大舟の渡の山の 黄葉の散りの亂りに 妹が袖さやにも見えず 嬬隱る屋上の山の 雲間より渡らふ月の 惜しけども隱ろひ來れば 天づたふ入日さしぬれ 丈夫と思へる吾も 敷妙の衣の袖は通りて沾れぬ 青駒の 足掻を速み 雲居にぞ 妹があたりを 過ぎて來にける 秋山に 落つる黄葉 須臾は な散り亂れそ 妹があたり見む原文・訳・解説を読む 万葉集・138〜139番石見の海 津の浦を無み石見の海角の浦回を 浦無しと人こそ見らめ 潟無しと人こそ見らめ よしゑやし浦は無くとも よしゑやし潟は無くとも 勇魚取り海邊をさして 柔田津の荒磯の上に か青なる玉藻奥つ藻 明け來れば浪こそ來寄せ 夕されば風こそ來寄せ 浪の共彼寄り此寄る 玉藻なす靡き吾が寢し 敷妙の妹が袂を 露霜の置きてし來れば この道の八十隈ごとに 萬度かへりみすれど いや遠に里放り來ぬ いや高に山も越え來ぬ 愛しきやし吾が嬬の兒が 夏草の思ひ萎えて 嘆くらむ角の里見む靡けこの山 石見の海 打歌の山の 木の際より 吾が振る袖を 妹見つらむか原文・訳・解説を読む 万葉集・167〜170番天地の 初の時天地の初の時 ひさかたの天の河原に 八百萬千萬神の 神集ひ集ひ坐して 神分ち分ちし時に 天照す日靈尊 天をば知ろしめすと 葦原の瑞穗の國を 天地の依り合ひの極 知ろしめす神の命と 天雲の八重かき別きて 神下し坐せまつりし 高照す日の皇子は 飛鳥の淨の宮に 神ながら太敷きまして 天皇の敷きます國と 天の原岩戸を開き 神上り上り坐しぬ わが大王皇子の命の 天の下知ろしめしせば 春花の貴からむと 望月の滿はしけむと 天の下四方の人の 大船の思ひ憑みて 天つ水仰ぎて待つに いかさまに思ほしめせか 由縁もなき眞弓の岡に 宮柱太敷きまし 御殿を高知りまして 朝ごとに御言問はさず 日月の數多くなりぬれ そこ故に皇子の宮人行方知らずも ひさかたの 天見るごとく 仰ぎ見し 皇子の御門の 荒れまく惜しも あかねさす 日は照らせれど ぬばたまの 夜渡る月の 隱らく惜しも 島の宮 勾の池の 放ち鳥 人目に戀ひて 池に潜かず原文・訳・解説を読む 万葉集・194〜195番飛ぶ鳥の 明日香の河の飛ぶ鳥の明日香の河の 上つ瀬に生ふる玉藻は 下つ瀬に流れ觸らふ 玉藻なすか依りかく依り 靡かひし嬬の命の たたなづく柔膚すらを 劒刀身に副へ寐ねば ぬばたまの夜床も荒るらむ そこ故に慰めかねて けだしくも逢ふやと念ひて 玉垂のをちの大野の 朝露に玉裳はひづち 夕霧に衣は沾れて 草枕旅宿かもする逢はぬ君ゆゑ 敷妙の 袖交へし君 玉垂の をち野過ぎ去く 亦も逢はめやも原文・訳・解説を読む 万葉集・196〜198番飛ぶ鳥の 明日香の河の 上つ瀬に 石橋渡し飛ぶ鳥の明日香の河の 上つ瀨に石橋渡し 下つ瀨に打橋渡す 石橋に生ひ靡ける 玉藻もぞ絶ゆれば生ふる 打橋に生ひををれる 川藻もぞ枯るれば生ゆる 何しかもわが王の 立たせば玉藻のもころ 臥せば川藻の如く 靡かひし宜しき君が 朝宮を忘れ給ふや 夕宮を背き給ふや 現身と思ひし時 春べは花折りかざし 秋立てば黄葉かざし 敷妙の袖たづさはり 鏡なす見れども飽かに 望月のいやめづらしみ 思ほしし君と時時 幸して遊び給ひし 御食向ふ城上の宮を 常宮と定め給ひて あぢさはふ目言も絶えぬ 然れかもあやに悲しみ ぬえ鳥の片戀づま 朝鳥の通はす君が 夏草の思ひ萎えて 夕星のか行きかく行き 大船のたゆたふ見れば 慰むる情もあらず そこ故に術知らましや 音のみも名のみも絶えず 天地のいや遠長く 偲び行かむみ名に懸かせる 明日香河萬代までに 愛しきやしわが王の形見かここを 明日香川 しがらみ渡し 塞かませば 流るる水も のどにかあらまし 明日香川 明日だに見むと 念へやも わが王の み名忘れせぬ原文・訳・解説を読む 万葉集・199〜202番かけまくも ゆゆしきかもかけまくもゆゆしきかも 言はまくもあやに畏き 明日香の眞神の原に ひさかたの天つ御門を かしこくも定めたまひて 神さぶと磐隱ります やすみしし吾が王の きこしめす背面の國の 眞木立つ不破山越えて 高麗劒和蹔が原の 行宮に天降り坐して 天の下治め給ひ 食國を定めたまふと 鳥が鳴く吾妻の國の 御軍士を召し給ひて ちはやぶる人を和せと 從服はぬ國を治めと 皇子ながら任け給へば 大御身に太刀取り帶ばし 大御手に弓取り持たし 御軍士を率ひたまひ 齊ふる鼓の音は 雷の聲と聞くまで 吹き響る小角の音も 敵見たる虎か吼ゆると 諸人のおびゆるまでに 捧げたる幡の靡は 冬ごもり春さり來れば 野ごとに著きてある火の 風の共靡くがごとく 取り持たる弓弭の騒 み雪降る冬の林に 飄風かもい卷き渡ると 思ふまで聞の恐く 引き放つ箭の繁けく 大雪の亂れて來たれ 從服はず立ち向ひしも 露霜の消なば消ぬべく 去く鳥の競ふ間に 渡會の齋宮ゆ 神風にい吹き惑はし 天雲を日の目も見せず 常闇に覆ひ給ひて 定めてし瑞穗の國を 神ながら太敷き坐して やすみしし吾大王の 天の下申し給へば 萬代に然しもあらむと 木綿花の榮ゆる時に わが大王皇子の御門を 神宮に裝ひまつりて つかはしし御門の人も 白妙の麻衣著 埴安の御門の原に あかねさす日のことごと 鹿じものい匍ひ伏しつつ ぬばたまの夕に至れば 大殿をふり放け見つつ 鶉なすい匍ひもとほり 侍へど侍ひ得ねば 春鳥のさまよひぬれば 嘆もいまだ過ぎぬに 憶もいまだ盡きねば 言喧ぐ百濟の原ゆ 神葬り葬りいまして 麻裳よし城上の宮を 常宮と定めまつりて 神ながら鎭りましぬ 然れどもわが大王の 萬代と思ほしめして 作らしし香具山の宮 萬代に過ぎむと思へや 天の如ふり放け見つつ 玉襷かけて偲ばむ恐かれども ひさかたの 天知らしぬる 君ゆゑに 日月も知らに 戀ひわたるかも はにやすの 池の堤の 隱沼の 行方を知らに 舎人は惑ふ 哭澤の 神社に神酒すゑ 禱ひ祈めど わが王は 高日知らしぬ原文・訳・解説を読む 万葉集・207〜209番天飛ぶや 輕の路は天飛ぶや輕の路は 吾妹子が里にしあれば ねもころに見まく欲しけど 止まず行かば人目を多み 數多く行かば人知りぬべみ 狹根葛後も逢はむと 大船の思ひ憑みて 玉かぎる磐垣淵の 隱りのみ戀ひつつあるに 渡る日の暮れ去るが如 照る月の雲隱る如 奧つ藻の靡きし妹は 黄葉葉の過ぎて去にきと 玉梓の使の言へば 梓弓聲に聞きて 言はむ術爲むすべ知らに 聲のみを聞きてあり得ねば 吾が戀ふる千重の一重も 慰むる情もありやと 吾妹子が止まず出で見し 輕の市に吾が立ち聞けば 玉襷畝火の山に 喧く鳥の音も聞えず 玉桙の道行く人も 一人だに似てし行かねば すべをなみ妹が名喚びて袖ぞ振りつる 秋山の 黄葉を茂み 迷ひぬる 妹を求めむ 山道知らずも 黄葉葉の 落り去くなべに 玉梓の 使を見れば 逢ひし日念ほゆ原文・訳・解説を読む 万葉集・210〜212番現身と 念ひし時に現身と念ひし時に 取り持ちて吾が二人見し 趍出の堤に立てる 槻の木のこちごちの枝の 春の葉の茂きが如く 念へりし妹にはあれど 憑めりし兒らにはあれど 世の中を背きし得ねば かぎろひの燃ゆる荒野に 白妙の天領巾隱り 鳥じもの朝立ちいまして 入日なす隱りにしかば 吾妹子が形見に置ける 若き兒の乞ひ泣く毎に 取り與ふ物し無ければ 男じもの腋ばさみ持ち 吾妹子と二人吾が宿し 枕づく嬬屋の内に 晝はもうらさび暮し 夜はも息づき明し 嘆けどもせむすべ知らに 戀ふれども逢ふ因を無み 大鳥の羽易の山に 吾が戀ふる妹は坐すと 人の言へば石根さくみて なづみ來し吉くもぞなき 現身と念ひし妹が 玉かぎるほのかにだにも見えぬ思へば 去年見てし 秋の月夜は 照らせれど 相見し妹は いや年さかる 衾道を 引手の山に 妹を置きて 山路を行けば 生けりともなし原文・訳・解説を読む 万葉集・213〜216番現身と 念ひし時現身と念ひし時 手携へ吾が二人見し 出で立ちの百枝槻の木 こちごちに枝させる如 春の葉の茂きが如 念へりし妹にはあれど 恃めりし妹にはあれど 世の中を背きし得ねば かぎろひの燃ゆる荒野に 白栲の天領巾隱り 鳥じもの朝立ちい行きて 入日なす隱りにしかば 吾妹子が形見に置ける 綠兒の乞ひ哭く毎に 取り委す物しなければ 男じもの腋挿み持ち 吾妹子と二人吾が宿し 枕づく嬬屋の內に 晝はうらさび暮し 夜は息衝き明し 嘆けどもせむ術知らに 戀ふれども逢ふ緣を無み 大鳥の羽易の山に 汝が戀ふる妹は坐すと 人の云へば石根さくみて なづみ來し好くもぞ無き 現身と念ひし妹が灰にて坐せば 去年見てし 秋の月夜は 渡れども 相見し妹は いや年さかる 衾路を 引出の山に 妹を置きて 山路念ふに 生けりともなし 家に來て 吾屋を見れば 玉床の 外に向きけり 妹が木枕原文・訳・解説を読む 万葉集・217〜219番秋山の したぶる妹秋山のしたぶる妹 なよ竹のとをよる子らは いかさまに念ひ居れか 栲繩の長き命を 露こそは朝に置きて 夕は消ゆと言へ 霧こそは夕に立ちて 朝は失すと言へ 梓弓音聞く吾も 髣髴見し事悔しきを 敷妙の手枕纏きて 劒刀身に副へ寐けむ 若草のその夫の子は 不怜しみか念ひて寐らむ 悔しみか念ひ戀ふらむ 時ならず過ぎにし子らか 朝露の如也夕霧の如也 樂浪の 志我津の子らが 罷道の 川瀨の道は 見ればさぶしも 天數ふ 大津の子が 逢ひし日に おほに見しかば 今ぞ悔しき原文・訳・解説を読む 万葉集・220〜222番玉藻よし 讃岐の國は玉藻よし讃岐の國は 國柄か見れども飽かぬ 神柄かここだ貴き 天地日月とともに 滿りゆかむ神の御面と 繼ぎ來る中の水門ゆ 船浮けて吾が榜ぎ來れば 時つ風雲居に吹くに 奧見れば跡位浪立ち 邊見れば白浪とよむ 鯨魚取り海を恐み 行く船の楫引き折りて 彼此の島は多けど 名ぐはし狹岑の島の 荒磯面に廬りて見れば 浪の音の繁き濱邊を 敷妙の枕にして 荒床により臥す君が 家知らば行きても告げむ 妻知らば來も問はましを 玉桙の道だに知らず 鬱悒く待ちか戀ふらむ愛しき妻らは 妻もあらば 採みてたげまし 佐美の山 野の上の宇波疑 過ぎにけらずや 奧つ波 來よる荒磯を 敷妙の 枕と纏きて 寢せる君かも原文・訳・解説を読む 万葉集・223番鴨山の鴨山の 磐根し纏ける 吾をかも 知らにと妹が 待ちつつあらむ原文・訳・解説を読む 万葉集・235番皇は 神にしませば皇は 神にしませば 天雲の 雷の上に 廬するかも原文・訳・解説を読む 万葉集・239〜241番やすみしし 吾大王 高光る わが日の皇子のやすみしし吾大王 高光るわが日の皇子の 馬竝めてみ獵立たせる 弱薦を獵路の小野に 猪鹿こそはい匐ひ拜がめ 鶉こそい匐ひもとほれ 猪鹿じものい匐ひ拜がみ 鶉なすい匐ひもとほり かしこみと仕へ奉りて ひさかたの天見るごとく 眞十鏡仰ぎて見れど 春草のいやめづらしきわが大王かも ひさかたの 天行く月を 網に刺し わが大王は 蓋にせり 皇は 神にしませば 眞木の立つ 荒山中に 海をなすかも原文・訳・解説を読む 万葉集・249〜256番三津の埼三津の埼 浪をかしこみ 隱江の 舟公宣奴島尒 玉藻苅る 敏馬を過ぎて 夏草の 野島の埼に 船近づきぬ 淡路の 野島の埼の 濱風に 妹が結びし 紐吹きかへす あらたへの 藤江の浦に 鱸釣る 白水郎とか見らむ 旅行く吾を 稻日野も 行き過ぎがてに 思へれば 心戀しき 可古の島見ゆ ともしびの 明石大門に 入らむ日や 榜ぎ別れなむ 家のあたり見ず 天ざかる 夷の長道ゆ 戀ひ來れば 明石の門より 大和島見ゆ 飼飯の海の にはよくあらし 苅薦の 亂れ出づ見ゆ 海人の釣船原文・訳・解説を読む 万葉集・261〜262番やすみしし 吾大王 高輝る 日の皇子やすみしし吾大王 高輝る日の皇子 敷きいます大殿の上に ひさかたの天傳ひ來る 雪じもの往きかよひつついや常世まで 矢釣山 木立も見えず 落り亂る 雪に驪うつ 朝樂しも原文・訳・解説を読む 万葉集・264番もののふの 八十氏河のもののふの 八十氏河の 網代木に いさよふ波の 行方知らずも原文・訳・解説を読む 万葉集・266番淡海の海淡海の海 夕浪千鳥 汝が鳴けば 心もしぬに いにしへ思ほゆ原文・訳・解説を読む 万葉集・303〜304番名ぐはしき 稻見の海の名ぐはしき 稻見の海の 奧つ浪 千重に隱りぬ 大和島根は 大王の 遠の朝廷と 在り通ふ 島門を見れば 神代し念ほゆ原文・訳・解説を読む 万葉集・426番草枕 旅の宿に草枕 旅の宿に 誰が夫か 國忘れたる 家待たまくに原文・訳・解説を読む 万葉集・428番隱口の 泊瀨の山の隱口の 泊瀨の山の 山の際に いさよふ雲は 妹にかもあらむ原文・訳・解説を読む 万葉集・429〜430番山の際ゆ山の際ゆ 出雲の兒等は 霧なれや 吉野の山の 嶺にたなびく 八雲刺す 出雲の子等が 黑髮は 吉野の川の 奧になづさふ原文・訳・解説を読む 万葉集・496〜499番み熊野の 浦の濱木綿み熊野の 浦の濱木綿 百重なす 心は念へど 直に逢はぬかも 古に ありけむ人も 吾が如か 妹に戀ひつつ 宿ねかてずけむ 今のみの わざにはあらず 古の 人ぞまさりて 哭にさへ泣きし 百重にも 來及けかもと 念へかも 君が使の 見れど飽かざらむ原文・訳・解説を読む 万葉集・501〜503番未通女等が 袖振山の未通女等が 袖振山の 瑞籬の 久しき時ゆ 思ひき吾は 夏野行く 牡鹿の角の 束の間も 妹が心を 忘れて念へや 珠衣の さゐさゐしづみ 家の妹に もの言はず來て 思ひかねつも原文・訳・解説を読む 万葉集・3611番大船に 眞楫繁貫き大船に 眞楫繁貫き 海原を 榜ぎ出て渡る 月人壯子原文・訳・解説を読む
『新古今和歌集』の柿本人麻呂
23首新古今和歌集・190番鳴く聲を鳴く聲を えやは偲ばぬ ほとゝぎす 初卯の花の 蔭にかくれて原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・333番あき萩のあき萩の 咲きちる野邊の 夕露に 濡れつゝ來ませ 夜は更けぬとも原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・346番小男鹿の小男鹿の いる野の薄 はつ尾花 いつしか妹が 手枕にせむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・458番秋されば秋されば 雁の羽風に 霜ふりて 寒き夜な〳〵 時雨さへふる原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・459番さを鹿のさを鹿の 妻とふ山の 岡べなる わさ田は苅らじ 霜はおくとも原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・464番秋されば秋されば おく白露に わが宿の 淺茅がうは葉 色づきにけり原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・497番垣ほなる垣ほなる 荻の葉そよぎ 秋風の 吹くなるなべに 雁ぞ鳴くなる原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・498番秋風に秋風に 山とび越ゆる 雁がねの いや遠ざかり 雲隱れつゝ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・541番飛鳥川飛鳥川 もみぢ葉ながる 葛城の 山の秋風 吹きぞしぬらし原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・582番時雨の雨時雨の雨 まなくしふれば 槇の葉も 爭ひかねて 色づきにけり原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・657番矢田の野の矢田の野の 淺茅色づく 有乳山 嶺のあは雪 寒くぞあるらし原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・849番久方の久方の あめにしをるゝ 君ゆゑに 月日も知らで 戀ひわたるらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・899番天ざかる天ざかる ひなの長路を 漕ぎ來れば 明石のとより 大和島見ゆ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・900番篠の葉は篠の葉は み山もそよに 亂るなり われは妹思ふ 別れ來ぬれば原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・992番足曳の足曳の 山田もる廬に おく鹿火の 下こがれつゝ 我が戀ふらくは原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・993番石の上石の上 ふるの早稻田の ほには出でず 心のうちに 戀ひやわたらむ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1050番みかりするみかりする 狩場のをのゝ なら柴の なれはまさらで 戀ぞ增される原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1208番衣手に衣手に 山おろし吹きて 寒き夜を 君來まさずば 獨かも寢む原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1374番夏野ゆく夏野ゆく をじかの角の 束の間も 忘れず思ふ 妹が心を原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1375番夏草の夏草の 露分衣 着もせぬに など吾が袖の かわく時なき原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1650番ものゝふのものゝふの 八十うぢ川の 網代木に いざよふ波の 行へ知らずも原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1688番秋されば秋されば 狩人こゆる 立田山 立ちてもゐても 物をしぞ思ふ原文・訳・解説を読む 新古今和歌集・1707番蘆鴨の蘆鴨の さわぐ入江の 水の江の 世にすみがたき 我が身なりけり原文・訳・解説を読む