古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 993番

石の上

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

布留の早稲田の穂のように、表には出さずに、心の中で恋い続けるのだろうか。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
人麿(柿本人麻呂)
  1. 1石いそ石いそいそののの上かみ上かみかみ初句
  2. 2ふるのふるのふるの早稻田わさだ早稻田わさだわさだののの二句
  3. 3ほにほにほにははは出い出いいでずでずでず三句
  4. 4心こころ心こころこころのののうちにうちにうちに四句
  5. 5戀こ戀ここひやわたらむひやわたらむいやわたらむ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

布留の早稲田の穂のように、表には出さずに、心の中で恋い続けるのだろうか。

意訳

布留の早稲田の稲穂が出るように思いを表に出すことはしない。私はただ心の中で、あの人を恋い続けていくのだろうか。

語釈・文法注

いそのかみ
「布留」の枕詞。
早稲田
早く実る稲の田。
ほに出づ
思いが表に現れる。

和歌

作者
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) 生没年未詳(七世紀後半〜八世紀初め)
持統・文武天皇の時代の宮廷歌人。『万葉集』を代表する歌人で、長歌・短歌ともにすぐれ、のちに「歌聖」とあがめられた。平安時代には人麻呂の作と伝える歌が多く、新古今集にもその名で多くの歌が入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第十一・恋歌一・993番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

枕詞
「いそのかみ」。
序詞
「石の上ふるの早稲田の」が「ほ」を導く。
字余り
第三句。

解説

人麿の歌とされる。もとは『万葉集』巻第九(1768番)。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、181頁(コマ100)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日