古典ライブラリー

万葉集 巻第十五 3611番

大船に 眞楫繁貫き

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

柿本人麻呂の七夕の歌。大船に楫をたくさん取りつけて海原を漕ぎ出して渡る月人壮子よ、という歌。

月の舟が、夜空の海原を漕ぎ渡っていく

題詞七夕の歌一首

  1. 1大おほ大おほおお船ぶね船ぶねぶねににに於保夫禰爾
  2. 2眞ま眞まま楫かぢ楫かぢかじ繁しじ繁しじしじ貫ぬ貫ぬぬききき麻可治之自奴伎
  3. 3海うな海うなうな原はら原はらはらををを宇奈波良乎
  4. 4榜こ榜ここぎぎぎ出で出ででててて渡わた渡わたわたるるる許藝弖天和多流
  5. 5月つき月つきつき人ひと人ひとひと壯子をとこ壯子をとこおとこ月人乎登祜

引用の仕方

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現代語訳

大船に左右の楫をたくさん取りつけて、海原を漕ぎ出して渡っていく月人壮子(月)よ。

意訳

七夕の夜、空を渡る月を、大船で海原を漕ぎ渡る若者にたとえた歌である。使人たちが七夕の頃に口ずさんだものと考えられる。

語釈・文法注

文法・本文

眞楫繁貫き
「まかぢしじぬき」。左右の楫をたくさん取りつけて。
月人壯子
「つきひとをとこ」。月を若者にたとえた語。

和歌

作者
柿本人麻呂(生没年未詳(7世紀後半〜8世紀初め))
持統天皇・文武天皇の時代に宮廷に仕えた歌人。天皇や皇子をたたえる長歌、皇子の死を悼む挽歌、旅の歌、妻を失った悲しみの歌など、雄大で力強い歌を多く残した。のちに「歌聖」とあがめられた。百人一首の第3首の作者ともされる。
出典
『万葉集』巻第十五・部立なし・3611番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
作者未詳(時代を問わない)
状況
柿本人麻呂の七夕の歌。遣新羅使人が口ずさんだ古歌。

修辞

擬人
月を船を漕ぐ若者に見立てる。

解説

使節が七夕の頃に瀬戸内を進んでいたことを示し、この後に備後の長井の浦の歌が続く。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』下巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、556頁(コマ71)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』下巻 岩波書店、昭和5年(1930)、649頁(コマ88)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日