古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第四 秋歌上 346番

小男鹿の

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

雄鹿が入っていく野の薄の、穂の出はじめた尾花を、いつになったら恋しい人の手枕にしようか。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
人麿(柿本人麻呂)
  1. 1小男鹿さをしか小男鹿さをしかさおしかののの初句
  2. 2いるいるいる野の野ののののの薄すすき薄すすきすすき二句
  3. 3はははつつつ尾花をばな尾花をばなおばな三句
  4. 4いつしかいつしかいつしか妹いも妹いもいもががが四句
  5. 5手枕たまくら手枕たまくらたまくらにせむにせむにせむ結句

引用の仕方

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現代語訳

雄鹿が入っていく野の薄の、穂の出はじめた尾花を、いつになったら恋しい人の手枕にしようか。

意訳

雄鹿が分け入る野の薄が、初めて穂を出した。その初々しい尾花のような恋しい人と、早く手枕を交わしたい。

語釈・文法注

いる野
「入る」と地名「入野」の掛詞。
はつ尾花
初めて穂の出た薄。

和歌

作者
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) 生没年未詳(七世紀後半〜八世紀初め)
持統・文武天皇の時代の宮廷歌人。『万葉集』を代表する歌人で、長歌・短歌ともにすぐれ、のちに「歌聖」とあがめられた。平安時代には人麻呂の作と伝える歌が多く、新古今集にもその名で多くの歌が入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第四・秋歌上・346番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

掛詞
「いる」に「入る」と「入野」を掛ける。

解説

『万葉集』巻十の作者未詳歌の異伝が、人麻呂の歌として伝えられたもの。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、61頁(コマ40)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日