古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 190番

鳴く聲を

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

鳴く声をこらえきれないのだろうか、ほととぎすは。咲きはじめた卯の花の陰に隠れて鳴いている。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
人麿(柿本人麻呂)
  1. 1鳴な鳴ななくくく聲こゑ聲こゑこえををを初句
  2. 2えやはえやはえやは偲しの偲しのしのばぬばぬばぬ二句
  3. 3ほとゝぎすほとゝぎすほととぎす三句
  4. 4初卯はつう初卯はつうはつうののの花はな花はなはなののの四句
  5. 5蔭かげ蔭かげかげにかくれてにかくれてにかくれて結句

引用の仕方

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現代語訳

鳴く声をこらえきれないのだろうか、ほととぎすは。咲きはじめた卯の花の陰に隠れて鳴いている。

意訳

ほととぎすは、咲きはじめた卯の花の陰にひそんでいるのに、鳴く声を抑えきれずに鳴いてしまう。

語釈・文法注

えやは偲ばぬ
「えやは〜ぬ」は「〜できないのか」。こらえきれないのか。

和歌

作者
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) 生没年未詳(七世紀後半〜八世紀初め)
持統・文武天皇の時代の宮廷歌人。『万葉集』を代表する歌人で、長歌・短歌ともにすぐれ、のちに「歌聖」とあがめられた。平安時代には人麻呂の作と伝える歌が多く、新古今集にもその名で多くの歌が入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・190番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

解説

『万葉集』巻十の作者未詳歌の異伝が、人麻呂の歌として伝えられたもの。

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出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、34頁(コマ27)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日