古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十一 恋歌一 992番

足曳の

柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)

山田の番をする庵で焚く蚊遣火のように、心の中で焦がれ続けている、私の恋することは。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
人麿(柿本人麻呂)
  1. 1足曳あしびき足曳あしびきあしびきののの初句
  2. 2山田やまだ山田やまだやまだもるもるもる廬いほ廬いほいおににに二句
  3. 3おくおくおく鹿火かび鹿火かびかびののの三句
  4. 4下した下したしたこがれつゝこがれつゝこがれつつ四句
  5. 5我わ我わわががが戀こ戀ここふらくはふらくはうらくは結句

引用の仕方

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現代語訳

山田の番をする庵で焚く蚊遣火のように、心の中で焦がれ続けている、私の恋することは。

意訳

山の田を守る番小屋でくすぶらせている鹿火のように、私の恋は、人に知られず心の底で焦がれ続けている。

語釈・文法注

鹿火
鹿や猪を追い払うために田で焚く火。
下こがれ
表に出さずに思い焦がれる。
恋ふらく
恋すること。

和歌

作者
柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ) 生没年未詳(七世紀後半〜八世紀初め)
持統・文武天皇の時代の宮廷歌人。『万葉集』を代表する歌人で、長歌・短歌ともにすぐれ、のちに「歌聖」とあがめられた。平安時代には人麻呂の作と伝える歌が多く、新古今集にもその名で多くの歌が入る。三十六歌仙の一人。
出典
『新古今和歌集』巻第十一・恋歌一・992番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

序詞
「足曳の山田もる廬におく鹿火の」が「下こがれ」を導く。
倒置
倒置。

解説

人麿の歌とされる。もとは『万葉集』巻第十一(2649番)の作者未詳歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、181頁(コマ100)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日