人物事典 / あ行
大伴旅人
おおとものたびと
665–731
人物について
大伴安麻呂の子で、大伴家持の父。中納言・大納言を務めた貴族。神亀年間の末に大宰帥として九州の大宰府に赴任し、山上憶良らと「筑紫歌壇」と呼ばれる文化的な交流を生んだ。漢詩文の教養が深く、酒や梅を題材にした風流な歌を残した。
古典ライブラリーで読める歌:『万葉集』74首『新古今和歌集』1首
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『万葉集』の大伴旅人
74首万葉集・315〜316番み吉野の 芳野の宮はみ吉野の芳野の宮は 山からし貴くあらし 川からし清けくあらし 天地と長く久しく 萬代に變らずあらむいでましの宮 昔見し 象の小河を 今見れば いよよ清けく なりにけるかも原文・訳・解説を読む 万葉集・331〜335番吾が盛吾が盛 また變若めやも ほとほとに 寧樂の京を 見ずかなりなむ わが命も 常にあらぬか 昔見し 象の小河を 行きて見むため 淺茅原 つばらつばらに もの思へば 故りにし鄕し 思ほゆるかも 萱草 わが紐に付く 香具山の 故りにし里を 忘れじがため 吾が行は 久にはあらじ 夢の囘淵 瀨にはならずて 淵にしあらも原文・訳・解説を読む 万葉集・338〜350番驗なき驗なき 物を思はずは 一坏の 濁れる酒を 飮むべく有らし 酒の名を 聖と負せし 古の 大き聖の 言のよろしさ いにしへの 七の賢しき 人等も 欲りせしものは 酒にし有るらし 賢しみと 物いふよりは 酒飮みて 醉哭するし まさりたるらし 言はむすべ 爲むすべ知らに 極りて 貴きものは 酒にし有るらし なかなかに 人とあらずは 酒壺に なりてしがも 酒に染みなむ あな醜 賢しらをすと 酒飮まぬ 人をよく見れば 猿にかも似る 價無き 寶といふとも 一坏の 濁れる酒に 豈まさめやも 夜光る 玉といふとも 酒飮みて 情を遣るに あに若かめやも 世のなかの 遊びの道に さぶしくは 醉哭するに 有りぬべからし 今の代にし 樂しくあらば 來む生には 蟲に鳥にも 吾はなりなむ 生者 遂にも死ぬる ものにあれば いまある間は 樂しくをあらな 默然居りて 賢しらするは 酒飮みて 醉泣するに なほ若かずけり原文・訳・解説を読む 万葉集・438〜440番愛しき愛しき 人の纒きてし 敷妙の 吾が手枕を 纒く人あらめや 還るべく 時は成りけり 京師にて 誰が袂をか 吾が枕かむ 京師なる 荒れたる家に 獨り宿ば 旅に益りて 苦しかるべし原文・訳・解説を読む 万葉集・446〜450番吾妹子が 見し鞆の浦の吾妹子が 見し鞆の浦の 室の木は 常世にあれど 見し人ぞ亡き 鞆の浦の 磯の室の木 見む毎に 相見し妹は 忘らえめやも 磯の上に 根蔓ふ室の木 見し人を 何在と問はば 語り告げむか 妹と來し 敏馬の埼を 還るさに 獨して見れば 涕ぐましも 往くさには 二人吾が見し この埼を ひとり過ぐれば こころ悲しも原文・訳・解説を読む 万葉集・451〜453番人もなき人もなき 空しき家は 草枕 旅にまさりて 苦しかりけり 妹として 二人作りし 吾が山齋は 木高く繁く なりにけるかも 吾妹子が 植ゑし梅の樹 見る毎に こころ咽せつつ 涕し流る原文・訳・解説を読む 万葉集・555番君がため 釀みし待酒君がため 釀みし待酒 安の野に 獨や飮まむ 友無しにして原文・訳・解説を読む 万葉集・574〜575番此間に在りて此間にありて 筑紫やいづく 白雲の たなびく山の 方にしあるらし 草香江の 入江に求食 蘆鶴の あなたづたづし 友無しにして原文・訳・解説を読む 万葉集・577番吾が衣 人にな着せそ吾が衣 人にな着せそ 網引する 難波壯士の 手には觸るとも原文・訳・解説を読む 万葉集・793番世の中は 空しきものと世の中は 空しきものと 知る時し いよよますます 悲しかりけり原文・訳・解説を読む 万葉集・806〜809番龍の馬も 今も得てしか龍の馬も 今も得てしか あをによし 奈良の都に 行きて來む爲 現には 逢ふよしも無し ぬばたまの 夜の夢にを 繼ぎて見えこそ 龍の馬を 吾は求めむ あをによし 奈良の都に 來む人の爲に 直に逢はず 在らくも多く 敷妙の 枕離らずて 夢にし見えむ原文・訳・解説を読む 万葉集・810〜812番如何にあらむ 日の時にかも如何にあらむ 日の時にかも 聲知らむ 人の膝の上 吾が枕かむ 言問はぬ 樹にはありとも 麗しき 君が手慣の 琴にしあるべし 言問はぬ 木にもありとも 吾兄子が 手慣の御琴 地に置かめやも原文・訳・解説を読む 万葉集・847〜848番我が盛 いたく降ちぬ我が盛 いたく降ちぬ 雲に飛ぶ 藥はむとも また變若めやも 雲に飛ぶ 藥はむよは 都見ば いやしき吾が身 また變若ぬべし原文・訳・解説を読む 万葉集・849〜852番殘りたる 雪に交れる殘りたる 雪に交れる 梅の花 早くな散りそ 雪は消ぬとも 雪の色を 奪ひて咲ける 梅の花 いま盛なり 見む人もがも 我が宿に 盛に咲ける うめの花 散るべくなりぬ 見む人もがも 梅の花 夢に語らく 風流たる 花と吾思ふ 酒に浮べこそ原文・訳・解説を読む 万葉集・853〜863番漁する 海人の兒等と漁する 海人の兒等と 人はいへど 見るに知らえぬ 良人の子と 玉島の この川上に 家はあれど 君を耻しみ 顯さずありき 松浦河 河の瀨光り 年魚釣ると 立たせる妹が 裳の裾ぬれぬ 松浦なる 玉島河に 年魚釣ると 立たせる子等が 家路知らずも 遠つ人 松浦の河に 若年魚釣る 妹が袂を 我こそ纏かめ 若年魚釣る 松浦の河の 河浪の 竝にし思はば 我戀ひめやも 春されば 我家の里の 河門には 年魚兒さ走る 君待ち難に 松浦河 七瀨の淀は 澱むとも われはよどまず 君をし待たむ 松浦河 河の瀨早み 紅の 裳のすそ沾れて 年魚か釣るらむ 人皆の 見らむ松浦の 玉島を 見ずてや我は 戀ひつつ居らむ 松浦河 玉島の浦に 若年魚釣る 妹等を見らむ 人の羨しさ原文・訳・解説を読む 万葉集・955〜956番さす竹の 大宮人のさす竹の 大宮人の 家と住む 佐保の山をば 思ふやも君 やすみしし わが大王の 食國は 大和も此處も 同じとぞ念ふ原文・訳・解説を読む 万葉集・957〜959番いざ兒等 香椎の潟にいざ兒等 香椎の潟に 白妙の 袖さへぬれて 朝菜採みてむ 時つ風 吹くべくなりぬ 香椎潟 潮干の浦に 玉藻苅りてな 往き還り 常に我が見し 香椎潟 明日ゆ後には 見む緣も無し原文・訳・解説を読む 万葉集・960番隼人の 湍門の磐も隼人の 湍門の磐も 年魚走る 芳野の瀧に なほ及かずけり原文・訳・解説を読む 万葉集・961番湯の原に 鳴く蘆鶴は湯の原に 鳴く蘆鶴は 吾が如く 妹に戀ふれや 時わかず鳴く原文・訳・解説を読む 万葉集・969〜970番須臾も 行きて見てしか須臾も 行きて見てしか 神名火の 淵は淺せにて 瀨にかなるらむ 指進の 栗栖の小野の 萩が花 散らむ時にし 行きて手向けむ原文・訳・解説を読む 万葉集・1473番橘の 花散る里の橘の 花散る里の ほととぎす 片戀しつつ 鳴く日しぞ多き原文・訳・解説を読む 万葉集・1541〜1542番吾が岳に さを鹿來鳴く吾が岳に さを鹿來鳴く 先芽の 花嬬問ひに 來鳴くさ牡鹿 吾が岳の 秋萩の花 風をいたみ 散るべくなりぬ 見む人もがも原文・訳・解説を読む 万葉集・1639〜1640番沫雪の ほどろほどろに沫雪の ほどろほどろに 零り重けば 平城の京師し 念ほゆるかも 吾が岳に 盛に咲ける 梅の花 殘れる雪を まがへつるかも原文・訳・解説を読む