古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1473番

橘の 花散る里の

大伴旅人(おおとものたびと)

橘の花の散る里のほととぎすは、片思いをしながら鳴く日が多いことだ。妻を亡くした大伴旅人が、石上堅魚の歌に答えた歌。

橘の花が散る里で、ほととぎすが寂しげに鳴いている

題詞太宰帥大伴卿の和ふる歌一首

  1. 1橘たちばな橘たちばなたちばなののの橘之
  2. 2花はな花はなはな散ち散ちちるるる里さと里さとさとののの花散里乃
  3. 3ほととぎすほととぎすほととぎす霍公鳥
  4. 4片かた片かたかた戀こひ戀こひこいしししつつつつつつ片戀爲乍
  5. 5鳴な鳴ななくくく日ひ日ひひしししぞぞぞ多おほ多おほおおききき鳴日四曾多寸

引用の仕方

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現代語訳

橘の花の散る里のほととぎすは、片思いをしながら鳴く日が多いことだ。

意訳

橘の花が散ってしまった里で、ほととぎすはかなわぬ恋に鳴き続けている。亡き妻を慕って嘆き暮らす自分の姿を、ほととぎすに重ねている。

語釈・文法注

文法・本文

片戀
片思い。

和歌

作者
大伴旅人(665–731)
大伴安麻呂の子で、家持の父。大宰帥として筑紫に赴任し、梅花の宴を開いた。
出典
『万葉集』巻第八・雑歌・1473番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
妻を亡くした大宰帥大伴旅人が、石上堅魚の歌に答えた歌。

修辞

寓意
ほととぎすに、亡き妻を慕う自分を重ねる。

解説

旅人は大宰府で妻を失い、その悲しみを歌った作が巻第三・第五に残る。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、311頁(コマ159)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、349頁(コマ180)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日