人物事典 / か行
笠金村
かさのかなむら
生没年未詳
人物について
元正天皇・聖武天皇の時代の宮廷歌人。行幸に従った歌や旅の歌が多く、「笠朝臣金村の歌集」が万葉集の資料になった。
古典ライブラリーで読める歌:『万葉集』44首
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『万葉集』の笠金村
44首万葉集・230〜234番梓弓 手に取り持ちて梓弓手に取り持ちて 丈夫の得物矢手挿 立ち向ふ高圓山に 春野燒く野火と見るまで 燎ゆる火をいかにと問へば 玉桙の道來る人の 泣く淚霈霖に降れば 白妙の衣濕ちて 立ち留り吾に語らく 何しかももとな言へる 聞けば哭のみし泣かゆ 語れば心ぞ痛き 天皇の神の御子の 御駕の手火の光ぞ幾許照りたる 高圓の 野邊の秋萩 いたづらに 咲きか散るらむ 見る人無しに 三笠山 野邊行く道は 許多も 繁り荒れたるか 久にあらなくに 高圓の 野邊の秋萩 な散りそね 君が形見に 見つつ偲ばむ 三笠山 野邊ゆ行く道 許多も 荒れにけるかも 久にあらなくに原文・訳・解説を読む 万葉集・364〜365番丈夫の 弓上振り起し丈夫の 弓上振り起し 射つる矢を 後見む人は 語り繼ぐがね 鹽津山 うち越え行けば 我が乘れる 馬ぞつまづく 家戀ふらしも原文・訳・解説を読む 万葉集・366〜367番越の海の 角鹿の濱ゆ越の海の角鹿の濱ゆ 大船に眞楫貫きおろし いさなとり海路に出でて 喘ぎつつ我が榜ぎ行けば 丈夫の手結が浦に 海未通女鹽燒くけぶり 草枕旅にしあれば 獨して見る驗無み 海神の手に卷かしたる 珠襷懸けて偲びつ大和島根を 越の海の 手結の浦を 旅にして 見ればともしみ 大和思びつ原文・訳・解説を読む 万葉集・543〜545番天皇の 行幸のまにま天皇の行幸のまにま 物部の八十伴の雄と 出で行きし愛し夫は 天翔ぶや輕の路ゆ 玉襷畝火を見つつ 麻裳よし紀路に入り立ち 眞土山越ゆらむ君は 黄葉葉の散り飛ぶ見つつ 親しくも吾をばおもはず 草枕旅を宜しと 思ひつつ君はあらむと あそそには且は知れども しかすがに默然も得あらねば 吾背子が行のまにまに 追はむとは千遍おもへど 手弱女の吾身にしあれば 道守の問はむ答を 言ひ遣らむ術を知らにと立ちて蹟く 後れ居て 戀ひつつあらずは 紀の國の 妹背の山に あらましものを 吾背子が 跡ふみ求め 追ひ行かば 紀の關守い 留めなむかも原文・訳・解説を読む 万葉集・546〜548番三香の原 旅の宿りに三香の原旅の宿りに 玉桙の道の行合に 天雲の外のみ見つつ 言問はむ縁の無ければ 情のみ咽せつつあるに 天地の神祇こと依せて 敷妙の衣手易へて 自妻と憑める今夜 秋の夜の百夜の長さありこせぬかも 天雲の 外に見しより 吾妹子に 心も身さへ 縁りにしものを 今夜の 早く明けなば すべを無み 秋の百夜を 願ひつるかも原文・訳・解説を読む 万葉集・907〜912番瀧の上の 三舟の山に瀧の上の三舟の山に 瑞枝さし繁に生ひたる 栂の樹のいや繼ぎ繼ぎに 萬代に斯くし知らさむ み芳野の蜻蛉の宮は 神からか貴かるらむ 國からか見が欲しからむ 山川を清み清けみ うべし神代ゆ定めけらしも 毎年はに 斯くも見てしか み吉野の 清き河內の 激つ白波 山高み 白木綿花に 落ちたぎつ 瀧の河內は 見れど飽かぬかも 神からか 見が欲しからむ み吉野の 瀧の河內は 見れど飽かぬかも み吉野の 秋津の川の 萬世に 絕ゆること無く また還り見む 泊瀨女の 造る木綿花 み吉野の 瀧の水沫に 開きにけらずや原文・訳・解説を読む 万葉集・920〜922番あしひきの み山も清にあしひきのみ山も清に 落ちたぎつ芳野の河の 河の瀨の淨きを見れば 上邊は千鳥數鳴き 下邊は蝦妻呼ぶ 百磯城の大宮人も 彼此に繁にしあれば 見る毎にあやに羨しみ 玉葛絕ゆること無く 萬代に斯くしもがもと 天地の神をぞ禱る恐かれども 萬代に 見とも飽かめや み吉野の たぎつ河內の 大宮どころ 皆人の 壽も吾も み吉野の 瀧の床磐の 常ならぬかも原文・訳・解説を読む 万葉集・928〜930番押照る 難波の國は押照る難波の國は 葦垣の古りにし郷と 人皆の念ひ息みて つれも無くありし間に 續麻をなす長柄の宮に 眞木柱太高敷きて 食國を治めたまへば 沖つ鳥味經の原に もののふの八十伴の雄は 廬して都なしたり旅にはあれども 荒野らに 里はあれども 大王の 敷き座す時は 京師となりぬ 海未通女 棚無し小舟 榜ぎ出らし 旅のやどりに 楫の音聞ゆ原文・訳・解説を読む 万葉集・935〜937番名寸隅の 船瀨ゆ見ゆる名寸隅の船瀨ゆ見ゆる 淡路島松帆の浦に 朝なぎに玉藻苅りつつ 夕なぎに藻鹽燒きつつ 海未通女ありとは聞けど 見に行かむよしの無ければ 丈夫の情は無しに 手弱女の思ひたわみて 徘徊り吾はぞ戀ふる船楫を無み 玉藻苅る 海未通女ども 見に行かむ 船楫もがも 浪高くとも 往きめぐり 見とも飽かめや 名寸隅の 船瀨の濱に しきる白浪原文・訳・解説を読む 万葉集・950〜953番大王の 界ひ賜ふと大王の 界ひ賜ふと 山守居ゑ 守るとふ山に 入らずは止まじ 見渡せば 近きものから 石隱り 耀よふ珠を 取らずは止まじ 韓衣 著奈良の里の 山齋に 玉をし付けむ 好き人もがも さを鹿の 鳴くなる山を 越え行かむ 日だにや君に 將た逢はざらむ原文・訳・解説を読む 万葉集・1453〜1455番玉襷 懸けぬ時無く玉襷懸けぬ時無く 氣の緒に吾が念ふ君は うつせみの命かしこみ 夕されば鶴が妻喚ぶ 難波潟三津の埼より 大船に眞楫繁貫き 白浪の高き荒海を 島傳ひい別れ行かば 留まれる吾は幣引き 齋ひつつ君をばやらむはや還りませ 波の上ゆ 見ゆる兒島の 雲隱り あな氣衝かし 相別れなば たまきはる 命に向ひ 戀ひむゆは 君がみ船の 楫柄にもが原文・訳・解説を読む 万葉集・1532〜1533番草枕 旅行く人も草枕 旅行く人も 行き觸らば にほひぬべくも 咲ける萩かも 伊香山 野邊に咲きたる 萩見れば 君が家なる 尾花し念ほゆ原文・訳・解説を読む 万葉集・1785〜1786番人と成る 事は難きを人と成る事は難きを 邂逅に成れる吾が身は 死も生も君がまにまと 念ひつつありし間に うつせみの世の人なれば 大王の御命かしこみ 天離る夷治めにと 朝鳥の朝立しつつ 群鳥の群立行けば 留り居て吾は戀ひむな見ず久ならば み越路の 雪零る山を 越えむ日は 留れる吾を 懸けて偲ばせ原文・訳・解説を読む 万葉集・1787〜1789番うつせみの 世の人なればうつせみの世の人なれば 大王の御命恐み 礒城島の大和の國の 石上布留の里に 紐解かず丸寢をすれば 吾が著たる衣は穢れぬ 見るごとに戀はまされど 色に出でば人知りぬべみ 冬の夜のあかしも得ぬを 寐も寢ずに吾はぞ戀ふる妹が直香に 布留山ゆ 直に見渡す 京にぞ 寐も寢ず戀ふる 遠からなくに 吾妹子が 結ひてし紐を 解かめやも 絕えは絕ゆとも 直に逢ふまでに原文・訳・解説を読む