人物事典 / な行
中臣宅守
なかとみのやかもり
生没年未詳(八世紀中頃)
人物について
中臣東人の子。狭野弟上娘子を妻としたころ越前国に流された(罪の理由ははっきりしない)。その間に娘子と交わした贈答歌が巻十五に載る。のち許されて都に戻った。
古典ライブラリーで読める歌:『万葉集』38首
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『万葉集』の中臣宅守
38首万葉集・3727〜3730番塵泥の 數にもあらぬ塵泥の 數にもあらぬ 吾故に 思ひ侘ぶらむ 妹が悲しさ あをによし 奈良の大路は 行きよけど この山道は 行き惡しかりけり 愛しと 吾が思ふ妹を 思ひつつ 行けばかもとな 行き惡しかるらむ 畏みと 告らずありしを み越路の 峠に立ちて 妹が名告りつ原文・訳・解説を読む 万葉集・3731〜3737番思ふ故に 逢ふものならば思ふ故に 逢ふものならば 暫しくも 妹が目離れて 吾居らめやも あかねさす 晝は物思ひ ぬばたまの 夜はすがらに 哭のみし泣かゆ 吾妹子が 形見の衣 なかりせば 何物もてか 命繼がまし 遠き山 關も越え來ぬ 今更に 逢ふべきよしの 無きが不樂しさ おもはずも 實あり得むや さ寢る夜の 夢にも妹が 見えざらなくに 遠くあれば 一日一夜も 思はずて 在るらむものと 思ほしめすな 他人よりは 妹ぞも惡しき 戀もなく あらましものを 思はしめつつ原文・訳・解説を読む 万葉集・3738〜3744番思ひつつ 寢ればかもとな思ひつつ 寢ればかもとな ぬばたまの 一夜も闕ちず 夢にし見ゆる かくばかり 戀ひむと豫て 知らませば 妹をば見ずぞ あるべくありける 天地の 神なきものに あらばこそ 吾が思ふ妹に 逢はず死にせめ 命をし 全くしあらば あり衣の 在りて後にも 逢はざらめやも 逢はむ日を その日と知らず 常闇に いづれの日まで 吾戀ひ居らむ 旅といへば 言にぞ易き 少くも 妹に戀ひつつ 術無けなくに わぎもこに 戀ふるに吾は たまきはる 短き命も 惜しけくもなし原文・訳・解説を読む 万葉集・3754〜3758番過所無しに 關飛び越ゆる過所無しに 關飛び越ゆる ほととぎす まねく我が子にも 止まず通はむ うるはしと 吾が思ふ妹を 山川を 中に隔りて 安けくもなし 向ひゐて 一日も闕ちず 見しかども 厭はぬ妹を 月わたるまで 吾が身こそ 關山越えて 此處にあらめ 心は妹に 依りにしものを 刺竹の 大宮人は 今もかも 人なぶりのみ 好みたるらむ原文・訳・解説を読む 万葉集・3759〜3762番たちかへり 泣けども吾はたちかへり 泣けども吾は しるし無み 思ひ侘ぶれて 寢る夜しぞ多き さ寢る夜は 多くあれども 物思はず 安く寢る夜は 實なきものを 世の中の 常の道理 かくさまに なり來にけらし すゑし種子から 吾妹子に 逢坂山を 越えて來て 泣きつつ居れど 逢ふよしも無し原文・訳・解説を読む 万葉集・3763〜3766番旅といへば 言にぞ易き旅といへば 言にぞ易き 術もなく 苦しき旅も ことに益さめやも 山川を 中に隔りて 遠くとも 心を近く おもほせ吾妹 まそ鏡 かけて偲べと まつり出す 形見の物を 人に示すな 愛しと おもひしおもはば 下紐に 結ひ着け持ちて 止まず偲ばせ原文・訳・解説を読む 万葉集・3779〜3785番わが宿の 花橘はわが宿の 花橘は いたづらに 散りか過ぐらむ 見る人無しに 戀ひ死なば 戀ひも死ねとや ほととぎす 物思ふ時に 來鳴き響むる 旅にして 物思ふ時に ほととぎす もとな勿鳴きそ 吾が戀まさる 雨隱り 物思ふ時に ほととぎす わが住む里に 來鳴き響もす 旅にして 妹に戀ふれば ほととぎす わが住む里に 此よ鳴き渡る 心なき 鳥にぞありける ほととぎす 物思ふ時に 鳴くべきものか ほととぎす 間しまし置け 汝が鳴けば 吾が思ふこころ 甚も術なし原文・訳・解説を読む