古典ライブラリー

万葉集 巻第八 1606番

君待つと 吾が戀ひをれば

額田王(ぬかたのおおきみ)

あなたを待って恋しく思っていると、わが家のすだれを動かして秋の風が吹く。額田王が天智天皇を思って作った歌。

秋の夕べ、すだれが風に揺れ、その奥で女性が人を待っている

題詞額田王、近江天皇を思ひて作れる歌一首

  1. 1君きみ君きみきみ待ま待ままつつつととと君待跡
  2. 2吾わ吾わわががが戀こ戀ここひひいをれをれおればばば吾戀居者
  3. 3我わ我わわががが屋や屋やや戸ど戸どどののの我屋戸乃
  4. 4すだれすだれすだれ動うご動うごうごかしかしかし簾令動
  5. 5秋あき秋あきあきののの風かぜ風かぜかぜ吹ふ吹ふふくくく秋之風吹

引用の仕方

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現代語訳

あなたを待とうとして恋しく思っていると、わが家のすだれを動かして、秋の風が吹く。

意訳

天智天皇の訪れを待っていると、すだれが揺れたので、来られたのかと思ったが、それは秋の風だった。期待と落胆が繊細に描かれている。秋相聞の部はこの歌から始まる。

語釈・文法注

文法・本文

戀ひをれば
恋しく思っていると。

和歌

作者
額田王(生没年未詳)
7世紀後半の女性歌人。天武天皇との間に十市皇女を生み、のちに天智天皇に仕えた。
出典
『万葉集』巻第八・相聞・1606番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第1期(629〜672年(舒明天皇の即位〜壬申の乱))
状況
額田王が天智天皇を思って作った歌。

解説

巻第四の488番と重複して載せられている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、328頁(コマ168)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、370頁(コマ191)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日