古典ライブラリー

万葉集 巻第六 995番

斯くしつつ 遊び飮みこそ

大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)

こうして遊んで酒を飲みましょう。草木でさえ、春は芽生えても秋には散っていくのだから。親族との宴で、今を楽しもうと歌った坂上郎女の歌。

秋の庭に面した広間で、大伴一族の人々が酒を酌み交わし、庭の木々の葉が散っている

題詞大伴坂上郎女、親族と宴せる歌一首

  1. 1斯か斯かかくくくしししつつつつつつ如是爲乍
  2. 2遊あそ遊あそあそびびび飮の飮ののみみみこそこそこそ遊飮與
  3. 3草くさ草くさくさ木き木ききすらすらすら草木尙
  4. 4春はる春はるはるははは生お生おおひひいつつつつつつ春者生管
  5. 5秋あき秋あきあきははは散ち散ちちりりりゆくゆくゆく秋者落去

引用の仕方

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現代語訳

こうして遊び、酒を飲みましょう。草木でさえ、春は芽生えても、秋には散っていくのだから。

意訳

親族の宴の席で、坂上郎女は、草木でさえ春に生い茂っても秋には散ってしまうのだから、命のあるうちにこうして楽しく遊び飲もうと、一族に呼びかけている。

語釈・文法注

文法・本文

遊び飮みこそ
「こそ」は願望。遊んで飲もう。

和歌

作者
大伴坂上郎女(生没年未詳)
大伴安麻呂の娘で、旅人の異母妹。家持の叔母で、のちに姑となった。万葉集の女性歌人のうち最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・995番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第3期(710〜733年(平城京遷都〜山上憶良の没年ごろ))
状況
大伴坂上郎女が、親族と宴をしたときの歌。

修辞

対比
「春は生ひつつ」と「秋は散りゆく」。

解説

兄の旅人の讃酒歌(巻第三の338〜350番)にも通じる、今を楽しもうという思いが表れている。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、240頁(コマ124)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、262頁(コマ137)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日