古典ライブラリー

万葉集 巻第六 994番

振仰けて 若月見れば

大伴家持(おおとものやかもち)

振り仰いで三日月を見ると、一目見たあの人の眉の形が思い出される。少年時代の大伴家持の歌で、家持の作として年代の知られる最も古い歌の一つ。

夕空を見上げる少年が、細い三日月を見つめている

題詞大伴宿禰家持の初月の歌一首

  1. 1振ふり振ふりふり仰さ仰ささけけけててて振仰而
  2. 2若みか若みかみか月づき月づきづき見み見みみれれればばば若月見者
  3. 3一ひと一ひとひと目め目めめ見み見みみししし一目見之
  4. 4人ひと人ひとひとののの眉まよ眉まよまよ引びき引びきびき人之眉引
  5. 5おもほゆるおもほゆるおもおゆるかもかもかも所念可聞

引用の仕方

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現代語訳

振り仰いで三日月を見ると、一目見たあの人の眉の形が、思い出されることだ。

意訳

空の三日月を見上げると、一度だけ見かけた人の、三日月のような細い眉が思い出される。少年の淡い恋心が、清らかに表されている。

語釈・文法注

文法・本文

眉引
眉を引いたように描いた形。

和歌

作者
大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残した。
出典
『万葉集』巻第六・雑歌・994番
歌体
短歌(五七五七七)
時期
第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
状況
大伴家持の初月の歌。天平5年(733)ごろ、十六歳ごろの作とみられる。

解説

叔母の坂上郎女の993番と並べられており、郎女から歌の手ほどきを受けた少年家持の作とされる。

関連

出典

底本
佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、240頁(コマ124)。国立国会図書館デジタルコレクション
原文
佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、262頁(コマ137)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部
更新日