万葉集 巻第三 464番
秋さらば
秋になったらこれを見て私をしのんでくださいと妻が植えた庭の撫子が、咲いたことだ。妻の植えた撫子を見て、亡き人をしのんだ家持の歌。
場面イラスト(準備中)
題詞又家持、砌の上の瞿麥の花を見て作れる歌一首
現代語訳
秋になったら、これを見て私をしのんでくださいと妻が植えた庭の撫子が、咲いたことだ。
意訳
亡くなった妾は、秋になったらこれを見て私を思い出してと言って、庭に撫子を植えていた。その撫子が今咲いている。形見となった花を見て、家持は亡き人を思っている。
語釈・文法注
文法・本文
- 砌
- 「みぎり」は軒下の石畳、石段。
- 見つつ思べと
- 見ながらしのんでくださいと。
和歌
- 作者
- 大伴家持(718?–785)
大伴旅人の子。越中守などを務め、のちに中納言に至った。万葉集に最も多くの歌を残し、その編纂に深くかかわったとされる。 - 出典
- 『万葉集』巻第三・挽歌・464番
- 歌体
- 短歌(五七五七七)
- 時期
- 第4期(733〜759年(〜万葉集の最後の歌))
- 状況
- 大伴家持が、軒下の石畳のそばに咲いた撫子の花を見て詠んだ歌。
解説
家持は撫子を愛した歌人で、408番でも坂上大嬢を撫子にたとえている。
関連
出典
- 底本
- 佐佐木信綱編『新訓万葉集』上巻 岩波文庫、昭和2年(1927)、125頁(コマ66)。国立国会図書館デジタルコレクション
- 原文
- 佐佐木信綱編『白文万葉集』上巻 岩波書店、昭和24年(1949)、129頁(コマ70)。万葉仮名の原文。国立国会図書館デジタルコレクション
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部
- 更新日