古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第十 羇旅歌 970番

故鄕に

藤原家隆(ふじわらのいえたか(かりゅう))

故郷で頼みにさせた人も、末の松山ではないが、待っているだろう袖に、涙の浪が越えているのだろうか。

作者
藤原家隆朝臣(藤原家隆)
  1. 1千五百番せんごひやくばん千五百番せんごひやくばんせんごひゃくばん歌合うたあはせ歌合うたあはせうたあわせににに詞書
  2. 2故鄕ふるさと故鄕ふるさとふるさとににに初句
  3. 3たのめしたのめしたのめし人ひと人ひとひとももも二句
  4. 4末すゑ末すゑすえののの松まつ松まつまつ三句
  5. 5まつらむまつらむまつらむ袖そで袖そでそでににに四句
  6. 6浪なみ浪なみなみやこすらむやこすらむやこすらむ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕千五百番歌合で詠んだ歌。

故郷で頼みにさせた人も、末の松山ではないが、待っているだろう袖に、涙の浪が越えているのだろうか。

意訳

故郷で帰りを約束してきたあの人も、私を待ちわびて、末の松山を浪が越えるように、袖に涙の浪をあふれさせているのだろうか。

語釈・文法注

末の松
末の松山。陸奥国の歌枕。
まつ
「松」と「待つ」を掛ける。

和歌

作者
藤原家隆(ふじわらのいえたか(かりゅう)) 1158–1237
藤原俊成に和歌を学び、定家と並ぶ新古今時代の代表的歌人。『新古今和歌集』の撰者の一人。温雅で清澄な歌風で、生涯に六万首を詠んだと伝えられる。晩年は出家して壬生二品と呼ばれた。
出典
『新古今和歌集』巻第十・羇旅歌・970番
歌体
短歌
状況
詞書「千五百番歌合に」(千五百番歌合で詠んだ歌)。

修辞

掛詞
「まつ」に「松」と「待つ」。
本歌取り
「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山浪も越えなむ」(古今集)をふまえる。

解説

家隆の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、177頁(コマ98)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日