古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 801番

思ひ出づる

後鳥羽院(ごとばいん)

思い出して折り焚く柴の夕煙に、むせぶのもうれしい。忘れ形見として。

作者
太上天皇(後鳥羽院)
  1. 1十月かみなづき十月かみなづきかみなずきばかりばかりばかり、、、水無瀬みなせ水無瀬みなせみなせににに侍はべ侍はべはべりしりしりし頃ころ頃ころころ、、、前大僧正慈圓さきのだいそうじやうじゑん前大僧正慈圓さきのだいそうじやうじゑんさきのだいそうじょうじえんののの許もと許もともとへへへ、、、ぬれてぬれてぬれて時雨しぐれ時雨しぐれしぐれのなどのなどのなど申まう申まうもうししし遣つかは遣つかはつかわしてしてして、、、次つぎ次つぎつぎののの年とし年としとしののの神無月かみなづき神無月かみなづきかみなずき、、、無常むじやう無常むじやうむじょうののの歌うた歌うたうた數多あまた數多あまたあまたよみてよみてよみて遣つかは遣つかはつかわししし侍はべ侍はべはべりしりしりし中なか中なかなかににに詞書
  2. 2思おも思おもおもひひい出い出いいづるづるずる初句
  3. 3折を折をおりたくりたくりたく柴しば柴しばしばののの二句
  4. 4夕ゆふ夕ゆふゆう煙けぶり煙けぶりけぶり三句
  5. 5むせぶもむせぶもむせぶもうれしうれしうれし四句
  6. 6忘わす忘わすわすれがたみにれがたみにれがたみに結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

〔詞書〕十月ごろ、水無瀬におりましたころ、前大僧正慈円のもとへ「ぬれて時雨の」などと申し送って、次の年の神無月、無常の歌をたくさん詠んで贈りました中に。

思い出して折り焚く柴の夕煙に、むせぶのもうれしい。忘れ形見として。

意訳

亡き人を思い出しながら柴を折って焚く夕煙。その煙にむせび泣くのもうれしい。それが亡き人の忘れ形見なのだから。

語釈・文法注

折りたく柴
折って焚く柴。
忘れがたみ
忘れ形見。

和歌

作者
後鳥羽院(ごとばいん) 1180–1239
第八十二代天皇。譲位後に院政を行い、和歌所を置いて『新古今和歌集』の撰集を命じ、自らも撰歌と切継に深く関わった。承久の乱(1221)に敗れて隠岐に配流され、配所でも集の精選(隠岐本)を続けた。『新古今和歌集』では「太上天皇」と記され、三十三首が入る。
出典
『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・801番
歌体
短歌
状況
詞書「十月ばかり、水無瀬に侍りし頃、前大僧正慈圓の許へ、ぬれて時雨のなど申し遣して、次の年の神無月、無常の歌數多よみて遣し侍りし中に」(十月ごろ、水無瀬におりましたころ、前大僧正慈円のもとへ「ぬれて時雨の」などと申し送って、次の年の神無月、無常の歌をたくさん詠んで贈りました中に)。

解説

後鳥羽院の歌。前年に亡くした尾張局を偲ぶ。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、144頁(コマ82)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日