新古今和歌集 巻第八 哀傷歌 775番
おくと見し
置いたと見た露もまだ残っていた。はかなく消えてしまった人を、何にたとえようか。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕小式部内侍が、露の置いた萩を織り出した唐衣を着ていましたのを、亡くなった後、上東門院からお尋ねになったので、差しあげるといって。
置いたと見た露もまだ残っていた。はかなく消えてしまった人を、何にたとえようか。
意訳
あの子の唐衣に織り出された萩の露は、まだ残っていた。露よりもはかなく消えてしまったあの子を、いったい何にたとえたらよいのだろう。
語釈・文法注
- 唐衣
- 女房の正装の一番上に着る衣。
和歌
- 作者
- 和泉式部(いずみしきぶ) 978?–?
大江雅致の娘。和泉守橘道貞の妻となり、のち冷泉天皇の皇子為尊親王・敦道親王との恋で知られる。中宮彰子に仕えた。情熱的な恋の歌が多く、『和泉式部日記』がある。娘は小式部内侍。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第八・哀傷歌・775番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「小式部內侍、露置きたる萩織りたる唐衣を着て侍りけるを、身死りて後、上東門院よりたづねさせ給ひたるに、奉るとて」(小式部内侍が、露の置いた萩を織り出した唐衣を着ていましたのを、亡くなった後、上東門院からお尋ねになったので、差しあげるといって)。
修辞
- 二句切れ
- 二句切れ。
解説
和泉式部の歌。小式部内侍は和泉式部の娘で、万寿二年(1025年)に早世した。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、138頁(コマ79)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日