古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第四 秋歌上 420番

さむしろや

藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか))

筵の上で待つ夜の秋の風が吹き、夜も更けて、月の光を片敷いて独り寝をする宇治の橋姫よ。

詞書
「家に月五十首の歌よませ侍りける時」(前の歌と同じ詞書)
作者
藤原定家朝臣(藤原定家)
  1. 1さむしろやさむしろやさむしろや初句
  2. 2待ま待ままつつつ夜よ夜よよののの秋あき秋あきあきののの二句
  3. 3風かぜ風かぜかぜふけてふけてふけて三句
  4. 4月つき月つきつきをををかたしくかたしくかたしく四句
  5. 5宇治うぢ宇治うぢうじののの橋姫はしひめ橋姫はしひめはしひめ結句

引用の仕方

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現代語訳

筵の上で待つ夜の秋の風が吹き、夜も更けて、月の光を片敷いて独り寝をする宇治の橋姫よ。

意訳

秋の夜更け、冷たい風が吹く中で、宇治の橋姫は恋人を待ちながら、筵の上に月の光を敷いて独り寝をしているのだろう。

語釈・文法注

さむしろ
むしろ。「寒し」を響かせる。
かたしく
衣の片袖を敷いて独り寝をする。
宇治の橋姫
宇治橋を守る女神。恋人を待つ女性として詠まれる。

和歌

作者
藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)) 1162–1241
藤原俊成の子。『新古今和歌集』の撰者の一人で、のち『新勅撰和歌集』を単独で撰び、『小倉百人一首』を選んだとされる。妖艶・有心の美を追求した新古今時代の代表的歌人。日記『明月記』、歌論書『近代秀歌』『毎月抄』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第四・秋歌上・420番
歌体
短歌
状況
詞書「家に月五十首の歌よませ侍りける時」(自邸で月の五十首歌を詠ませました時の歌)。

修辞

本歌取り
「さむしろに衣かたしき今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫」(古今集)をふまえる。
体言止め
体言止め。

解説

定家の代表作の一つ。古今集の歌の世界を、月の光を敷くという幻想的な表現で新たにしている。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、73頁(コマ46)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日