古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第四 秋歌上 363番

見渡せば

藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか))

見渡すと、花も紅葉もないことだ。浦の苫屋の、秋の夕暮れよ。

作者
藤原定家朝臣(藤原定家)
  1. 1西行法師さいぎやうほふし西行法師さいぎやうほふしさいぎょうほうしすゝめてすゝめてすすめて百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうたよませよませよませ侍はべ侍はべはべりけるにりけるにりけるに詞書
  2. 2見み見みみ渡わた渡わたわたせばせばせば初句
  3. 3花はな花はなはなももも紅葉もみぢ紅葉もみぢもみじももも二句
  4. 4なかりけりなかりけりなかりけり三句
  5. 5浦うら浦うらうらののの苫屋とまや苫屋とまやとまやののの四句
  6. 6秋あき秋あきあきののの夕ゆふ夕ゆふゆうぐれぐれぐれ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕西行法師が勧めて百首歌を詠ませました時の歌。

見渡すと、花も紅葉もないことだ。浦の苫屋の、秋の夕暮れよ。

意訳

海辺を見渡しても、春の花も秋の紅葉もない。ただ漁師の粗末な苫屋が見えるだけの、さびしい秋の夕暮れ。華やかなものがないからこそ、深い寂しさの美が感じられる。

語釈・文法注

花も紅葉も
春の桜と秋の紅葉。美しいものの代表。
苫屋
菅や茅で編んだ苫で屋根を葺いた粗末な小屋。

和歌

作者
藤原定家(ふじわらのさだいえ(ていか)) 1162–1241
藤原俊成の子。『新古今和歌集』の撰者の一人で、のち『新勅撰和歌集』を単独で撰び、『小倉百人一首』を選んだとされる。妖艶・有心の美を追求した新古今時代の代表的歌人。日記『明月記』、歌論書『近代秀歌』『毎月抄』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第四・秋歌上・363番
歌体
短歌
状況
詞書「西行法師すゝめて百首の歌よませ侍りけるに」(西行法師が勧めて百首歌を詠ませました時の歌)。

修辞

三句切れ
三句切れ。
体言止め
体言止め。

解説

定家の代表作で、三夕の歌の一つ。『源氏物語』明石の巻をふまえるとされる。のちに茶道では、華美を排した「わび」の心を表す歌として重んじられた。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、64頁(コマ42)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日