古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第四 秋歌上 362番

心なき

西行法師(さいぎょうほうし)

もののあわれを解する心のない出家の身にも、しみじみとした情趣は自然と感じられることだ。鴫が飛び立つ沢の、秋の夕暮れよ。

詞書
「題しらず」(前の歌と同じ詞書)
作者
西行法師
  1. 1心こころ心こころこころなきなきなき初句
  2. 2身み身みみにもあはれにもあはれにもあわれははは二句
  3. 3知し知ししられけりられけりられけり三句
  4. 4鴫しぎ鴫しぎしぎ立た立たたつつつ澤さは澤さはさわののの四句
  5. 5秋あき秋あきあきののの夕ゆふ夕ゆふゆうぐれぐれぐれ結句

引用の仕方

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現代語訳

もののあわれを解する心のない出家の身にも、しみじみとした情趣は自然と感じられることだ。鴫が飛び立つ沢の、秋の夕暮れよ。

意訳

俗世を捨てて、もののあわれなど感じる心は捨てたはずの私にも、鴫が沢から飛び立つ秋の夕暮れの景色は、しみじみと心にしみる。

語釈・文法注

心なき身
情趣を解する心のない身。出家した自分を謙遜していう。
知られけり
「れ」は自発。自然と感じられる。
鴫
水辺にすむ鳥。

和歌

作者
西行法師(さいぎょうほうし) 1118–1190
俗名は佐藤義清(のりきよ)。鳥羽院の北面の武士だったが、二十三歳で出家し、諸国を旅して歌を詠んだ。自然と人生の哀感を率直に詠み、『新古今和歌集』に最も多い九十四首が入る。家集に『山家集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第四・秋歌上・362番
歌体
短歌
状況
題しらず(詠まれた事情は伝わらない)。

修辞

三句切れ
三句切れ。
体言止め
体言止め。

解説

西行の代表作で、三夕の歌の一つ。藤原俊成は『御裳濯河歌合』でこの歌を負けとしたが、のちに西行の名歌として広く愛誦された。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、64頁(コマ42)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日