古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 281番

かた枝さす

宮内卿(くないきょう)

片方の枝をさし伸ばす麻生の浦の梨の木が、実がなるかならないかのころ、まだ初秋になったかならないかなのに、風が身にしみることだ。

作者
宮内卿
  1. 1千五百番せんごひやくばん千五百番せんごひやくばんせんごひゃくばんののの歌合うたあはせ歌合うたあはせうたあわせににに詞書
  2. 2かたかたかた枝え枝ええさすさすさす初句
  3. 3麻生をふ麻生をふおうののの浦うら浦うらうら梨なし梨なしなし二句
  4. 4初秋はつあき初秋はつあきはつあきににに三句
  5. 5なりもならずもなりもならずもなりもならずも四句
  6. 6風かぜ風かぜかぜぞぞぞ身み身みみにしむにしむにしむ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕千五百番歌合に詠んだ歌。

片方の枝をさし伸ばす麻生の浦の梨の木が、実がなるかならないかのころ、まだ初秋になったかならないかなのに、風が身にしみることだ。

意訳

麻生の浦の梨の木は、実がなるかならないかのころ。季節もまだ初秋になったかならないかなのに、吹く風はもう身にしみる。

語釈・文法注

麻生の浦
伊勢国の歌枕。
なりもならずも
(実が)なるかならないか、(初秋に)なるかならないか、の掛詞。

和歌

作者
宮内卿(くないきょう) 生没年未詳(十二世紀末〜十三世紀初め)
源師光の娘。後鳥羽院に仕えた女房で、若くして歌才を認められ、千五百番歌合などで活躍したが、二十歳前後で亡くなったと伝えられる。「若草の宮内卿」と呼ばれた。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・281番
歌体
短歌
状況
詞書「千五百番の歌合に」(千五百番歌合に詠んだ歌)。

修辞

掛詞
「なり」に梨の実が「生り」と、秋に「成り」を掛ける。

解説

宮内卿の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、50頁(コマ35)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日