古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 282番

夏衣

慈円(じえん)

夏衣の片側が涼しくなったようだ。夜が更けたのだろうか、夏と秋とが行き違う空に。

作者
前大僧正慈圓(慈円)
  1. 1百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし時とき時ときとき詞書
  2. 2夏衣なつごろも夏衣なつごろもなつごろも初句
  3. 3かたへかたへかたえ涼すず涼すずすずしくしくしく二句
  4. 4なりぬなりなりぬなりなりぬなり三句
  5. 5夜よ夜よよややや更ふ更ふふけぬらむけぬらむけぬらむ四句
  6. 6ゆきあひのゆきあひのゆきあいの空そら空そらそら結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。

夏衣の片側が涼しくなったようだ。夜が更けたのだろうか、夏と秋とが行き違う空に。

意訳

夏衣を着ていると、片側だけが涼しく感じられる。夏の終わりの夜が更けて、夏と秋とが空の上ですれ違っているのだろう。

語釈・文法注

かたへ
片側。
ゆきあひの空
二つの季節が行き交う空。夏から秋へ移る時。

和歌

作者
慈円(じえん) 1155–1225
関白藤原忠通の子で、九条兼実の弟、良経の叔父。天台座主を四度務めた。歴史書『愚管抄』を著した。率直で多彩な歌風で、『新古今和歌集』に西行に次ぐ九十二首が入る。家集に『拾玉集』がある。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・282番
歌体
短歌
状況
詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。

修辞

本歌取り
「夏と秋と行きかふ空のかよひぢはかたへ涼しき風や吹くらむ」(躬恒、古今集)をふまえる。
体言止め
体言止め。

解説

慈円の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、50頁(コマ35)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日