古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 273番

螢とぶ

藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね)

蛍の飛ぶ野の沢に茂る蘆の根のように、夜ごと下のほうを通っていく秋風よ。

作者
攝政太政大臣(藤原良経(後京極摂政))
  1. 1五十首ごじつしゆ五十首ごじつしゆごじっしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしときりしときりしとき詞書
  2. 2螢ほたる螢ほたるほたるとぶとぶとぶ初句
  3. 3野の野のの澤ざは澤ざはざわにしげるにしげるにしげる二句
  4. 4蘆あし蘆あしあしののの根ね根ねねののの三句
  5. 5よな〳〵よな〳〵よなよな下した下したしたににに四句
  6. 6かよふかよふかよう秋あき秋あきあき風かぜ風かぜかぜ結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕五十首歌を献上した時の歌。

蛍の飛ぶ野の沢に茂る蘆の根のように、夜ごと下のほうを通っていく秋風よ。

意訳

蛍が飛ぶ野の沢に蘆が茂っている。夏の夜ごと、その根もとの下のほうを、早くも秋風がひそかに吹き通っている。

語釈・文法注

蘆の根の
「ね」の音から「夜な夜な」を導く。
下に
下のほうに。ひそかに。

和歌

作者
藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね) 1169–1206
九条兼実の子。摂政・太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書き、和歌所の寄人の筆頭として撰集を主導した。叔父の慈円や藤原定家ら御子左家の歌人を庇護し、清新で格調の高い歌を詠んだ。書にもすぐれ、後京極流の祖とされる。『新古今和歌集』に七十九首が入る。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・273番
歌体
短歌
状況
詞書「五十首の歌奉りしとき」(五十首歌を献上した時の歌)。

修辞

序詞
「螢とぶ野澤にしげる蘆の根の」が「よな〳〵」を導く。
体言止め
体言止め。

解説

良経の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、48頁(コマ34)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日