古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 270番

秋近き

藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね)

秋が近い気配の見えるけしきの森で鳴く蝉の涙の露が、下葉を染めているのだろうか。

作者
攝政太政大臣(藤原良経(後京極摂政))
  1. 1百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしときりしときりしとき詞書
  2. 2秋あき秋あきあき近ちか近ちかちかききき初句
  3. 3けしきのけしきのけしきの森もり森もりもりににに二句
  4. 4なくなくなく蟬せみ蟬せみせみののの三句
  5. 5淚なみだ淚なみだなみだののの露つゆ露つゆつゆややや四句
  6. 6下葉したば下葉したばしたば染そ染そそむらむむらむむらむ結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。

秋が近い気配の見えるけしきの森で鳴く蝉の涙の露が、下葉を染めているのだろうか。

意訳

秋の近づく気配が感じられる「けしきの森」で、蝉が鳴いている。その蝉の涙の露が、木々の下葉を紅葉に染めはじめているのだろうか。

語釈・文法注

けしきの森
大隅国の歌枕とされる。「気色(けしき)」を掛ける。
下葉
下のほうの葉。

和歌

作者
藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね) 1169–1206
九条兼実の子。摂政・太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書き、和歌所の寄人の筆頭として撰集を主導した。叔父の慈円や藤原定家ら御子左家の歌人を庇護し、清新で格調の高い歌を詠んだ。書にもすぐれ、後京極流の祖とされる。『新古今和歌集』に七十九首が入る。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・270番
歌体
短歌
状況
詞書「百首の歌奉りしとき」(百首歌を献上した時の歌)。

修辞

掛詞
「けしき」に「気色」と「けしきの森」を掛ける。

解説

良経の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、48頁(コマ34)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日