古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 255番

漁火の

藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね)

昔、漁り火が見えたという光がほのかに見えて、芦屋の里を飛ぶ蛍であることよ。

作者
攝政太政大臣(藤原良経(後京極摂政))
  1. 1百首ひやくしゆ百首ひやくしゆひゃくしゅののの歌うた歌うたうた奉たてまつ奉たてまつたてまつりしりしりし時とき時ときとき詞書
  2. 2漁火いさりび漁火いさりびいさりびののの初句
  3. 3昔むかし昔むかしむかしののの光ひかり光ひかりひかり二句
  4. 4ほのほのほの見み見みみえてえてえて三句
  5. 5蘆あし蘆あしあし屋や屋ややののの里さと里さとさとににに四句
  6. 6とぶとぶとぶ螢ほたる螢ほたるほたるかなかなかな結句

引用の仕方

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現代語訳

〔詞書〕百首歌を献上した時の歌。

昔、漁り火が見えたという光がほのかに見えて、芦屋の里を飛ぶ蛍であることよ。

意訳

芦屋の里を飛び交う蛍の光が、かつて『伊勢物語』で業平たちが見た漁り火の光のように、ほのかに見える。

語釈・文法注

漁火
夜、魚を集めるために舟でたく火。
蘆屋の里
摂津国の芦屋。『伊勢物語』第八十七段の舞台。

和歌

作者
藤原良経(後京極摂政)(ふじわらのよしつね) 1169–1206
九条兼実の子。摂政・太政大臣に至った。『新古今和歌集』の仮名序を書き、和歌所の寄人の筆頭として撰集を主導した。叔父の慈円や藤原定家ら御子左家の歌人を庇護し、清新で格調の高い歌を詠んだ。書にもすぐれ、後京極流の祖とされる。『新古今和歌集』に七十九首が入る。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・255番
歌体
短歌
状況
詞書「百首の歌奉りし時」(百首歌を献上した時の歌)。

修辞

本歌取り
『伊勢物語』の「晴るる夜の星か河辺の蛍かもわが住む方の海人のたく火か」をふまえる。

解説

良経の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、45頁(コマ32)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日