新古今和歌集 巻第三 夏歌 240番
かへり來ぬ
二度と帰ってこない昔を、今のことのように思いながら寝入った夢の枕に、橘の花が香っている。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕百首歌を献上した時の、夏の歌。
二度と帰ってこない昔を、今のことのように思いながら寝入った夢の枕に、橘の花が香っている。
意訳
帰らない昔のことを思いながら眠りについた。その夢の中に、昔をしのばせる橘の花の香りが漂ってくる。
語釈・文法注
- 昔を今と
- 昔を今のように。
- 思ひ寢
- 人や物事を思いながら寝ること。
和歌
- 作者
- 式子内親王(しょくしないしんのう) ?–1201
後白河天皇の皇女。賀茂の斎院を務めた。藤原俊成に和歌を学び、内に秘めた激しい情を静かな調べで詠んだ。『新古今和歌集』に女性歌人として最も多い四十九首が入る。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・240番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「百首の歌奉りし時、夏の歌」(百首歌を献上した時の、夏の歌)。
修辞
- 本歌取り
- 「五月待つ花橘の香をかげば昔の人の袖の香ぞする」をふまえる。
- 体言止め
- 体言止め。
解説
式子内親王の代表作の一つ。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、43頁(コマ31)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日