新古今和歌集 巻第三 夏歌 221番
今日はまた
今日はまた、菖蒲の根までも掛け添えて、いっそう乱れ落ちる、袖の上の白玉のような涙よ。
場面イラスト(準備中)
現代語訳
〔詞書〕述懐の心に寄せて百首歌を詠みました時の歌。
今日はまた、菖蒲の根までも掛け添えて、いっそう乱れ落ちる、袖の上の白玉のような涙よ。
意訳
五月五日の今日は、菖蒲の根を袖に掛ける日だが、そこに声を上げて泣く「音(ね)」までも加わって、袖の上の涙の玉はいっそう乱れ落ちる。
語釈・文法注
- ねさへ
- 菖蒲の「根」と、泣く「音(ね)」の掛詞。
- 袖の白玉
- 袖に落ちる涙のたとえ。
和歌
- 作者
- 藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい)) 1114–1204
藤原定家の父。『千載和歌集』を撰び、歌論書『古来風体抄』を著した。余情と「幽玄」を重んじる歌風で、御子左家の歌学の基礎を築き、新古今時代の歌人たちを導いた。法名は釈阿。 - 出典
- 『新古今和歌集』巻第三・夏歌・221番
- 歌体
- 短歌
- 状況
- 詞書「述懷に寄せて、百首の歌よみ侍りける時」(述懐の心に寄せて百首歌を詠みました時の歌)。
修辞
- 掛詞
- 「ね」に「根」と「音」を掛ける。
- 縁語
- 「掛け」「乱れ」「玉」。
解説
俊成の述懐百首の歌。
関連
出典
- 底本
- 『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、39〜40頁(コマ29)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
- 校訂・訳・注
- 古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
- 更新日