古典ライブラリー

新古今和歌集 巻第三 夏歌 202番

雨そゝぐ

藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい))

雨の降り注ぐ花橘に風が吹き過ぎて、山ほととぎすが雲の中で鳴いているようだ。

詞書
「入道前關白、右大臣に侍りける時、百首の歌よませ侍りける時、郭公の歌」(前の歌と同じ詞書)
作者
皇太后宮大夫俊成(藤原俊成)
  1. 1雨あめ雨あめあめそゝぐそゝぐそそぐ初句
  2. 2花はな花はなはな橘たちばな橘たちばなたちばなににに二句
  3. 3風かぜ風かぜかぜすぎてすぎてすぎて三句
  4. 4山やま山やまやまほとゝぎすほとゝぎすほととぎす四句
  5. 5雲くも雲くもくもになくなりになくなりになくなり結句

引用の仕方

レポート・論文で引用する場合の表記例です。行番号を選んでから開くと、その行へのリンクになります。

現代語訳

雨の降り注ぐ花橘に風が吹き過ぎて、山ほととぎすが雲の中で鳴いているようだ。

意訳

雨が降り注ぐ橘の花を、風が吹き過ぎていく。その風に乗るように、山ほととぎすが雲の中で鳴く声が聞こえる。雨・風・橘の香・ほととぎすの声が一つにとけあう。

語釈・文法注

花橘
橘の花。香りが高く、昔をしのぶよすがとされた。
鳴くなり
鳴いているようだ。

和歌

作者
藤原俊成(ふじわらのとしなり(しゅんぜい)) 1114–1204
藤原定家の父。『千載和歌集』を撰び、歌論書『古来風体抄』を著した。余情と「幽玄」を重んじる歌風で、御子左家の歌学の基礎を築き、新古今時代の歌人たちを導いた。法名は釈阿。
出典
『新古今和歌集』巻第三・夏歌・202番
歌体
短歌
状況
詞書「入道前關白、右大臣に侍りける時、百首の歌よませ侍りける時、郭公の歌」(入道前関白(藤原兼実)が右大臣であった時、百首歌を詠ませました折の、ほととぎすの歌)。

解説

俊成の歌。

関連

出典

底本
『新古今集』 短歌雑誌社編輯部校訂、紅玉堂書店、大正15年(1926)、36頁(コマ28)。流布本を底本とする。国立国会図書館デジタルコレクション(保護期間満了)
校訂・訳・注
古典ライブラリー編集部(本文は底本による。現代語訳・注は当サイト)
更新日